入学試験②
適当に他生徒の試験を見終わった後、俺たちは学園長であるラウールさんに挨拶をしにきた。
「「「失礼します。」」」
「おぉ、君たちがメイさんの弟子か!!待っていましたよ!」
綺麗な金髪をした美青年が高級そうな木の椅子に座っていた。シワ一つない、まるで生まれたての赤ちゃんのような綺麗な肌、適度な筋肉がついた細い身体、透き通るような白い肌、ピシッと長く伸びた耳、西洋人のような顔だち。
しかしその見た目の若さとは反して、永い時間を生きてきたと感じさせる威厳があった。
「正確にはメイ大賢者様の弟子は僕とこのミセルだけですが……」
「その娘が、か? いや、まぁいいか。遠路はるばるよく来てくれた。大したもてなしも出来ないが、ゆっくりしていってくれ!」
ほんのわずかだが、獲物を狙う鷹のような目つきでミセルをにらんだ。そうか、ミセルはハーフエルフだからあまりよく思われてないのか。でも意外と寛容そうな人でよかった。
「お心遣い、感謝します」
「そんなことよりメイさんは元気にしていらっしゃるのか!!!? 」
子供のような無邪気さで聞いてきた。
「え、えぇ。凄く元気でこの間は古代魔人を一瞬で倒してましたよ」
「……古代魔人か。ラスタくん……でよかったね? いずれ君たちにも関係することだから言っておくけど、メイさんが倒したのは古代魔人じゃないみたいなんだ。」
「……え?」
「私たちの方でも調査はしているが、アレが何かはまだよくわかってはいない。ただ一つわかっているのは、アレが古代魔人よりずっと弱いことだけだ」
「そ、そうなんですか?」
アレが弱いなんてのは信じられない。確かにあっさりとやられていたけど、それは大賢者が相手だったからで……
「本物の古代魔人は、私たち大賢者がツーマンセルを組んでようやく倒せるくらいの強さだよ。まぁ、メイさんクラスになると一人でも十分だとは思うけど」
「じゃ、じゃあアレは……?」
「"成れの果て"、メイさんはそう呼んでいた……重い話になってしまったね。まぁ、私は君たちの学園生活を最大限サポートさせてもらうから後は楽しんでくれたまえ!」
数日後、俺たちは受験者の結果発表を見に行った。
当たり前だが、全員の番号があった。
「げっ……ラスタなんで泣いてるの…………」
「ミセル静かに! 入試に合格したら泣くもんなの!」
「でも、私たちのは裏口だから……」
「それでもなの!!!」
「わ、わかったよ……」
受験の苦しみを知らない君たちにはわからないだろうが、合格の喜びというのは何物にも代え難い。それが大学不合格の俺には嫌という程わかったのだ。
「なんで俺が不合格なんだよ!!!!」
少し離れた所から子供の怒声が聴こえてきた。粗方、自分の不合格に納得できないやつの遠吠えだろ。
ダメだぞ、自分の結果と向きあう気持ちの強さが次へと繋がるんだから。その辛さを胸に次へと挑め!
俺がその子に対して自分のことを棚に上げた応援をしていると、
「そんなのお前が人間だからに決まっているだろう」
とんでもないことが聴こえてきた。
「そんなの納得できねぇ!!!」
「黙れ!!≪暴風≫」
エルフの審査官は手加減なしで風の中級攻撃魔法、≪暴風≫をその子供に対して放った。
「≪氷壁≫」
その子供も氷の中級防御魔法、≪氷壁≫を無詠唱で発現した。
暴風は氷の壁はぶつかり合い、かき消された。
……これだけできれば不合格にそりゃ文句あるわな。
「人間の子供のくせに生意気な!≪疾きこと風の如し、爆風≫」
風の上級攻撃魔法、≪爆風≫が放たれた。先程よりもずっと大きく、ずっと強い竜巻が現れ、少年を飲み込もうとした。
「≪魔龍双頭≫」
流石にヤバいと思い、≪魔龍双頭≫を無詠唱で発現し竜巻と相殺させようとした。
「やめなさい!!」
竜巻も、俺の魔法もが一瞬で消された。
「あなたたちは馬鹿なの? こんなところで上級魔法をぶつけたらどれだけの被害が出るのかわからないのかしら?」
前世での僕と同じくらいの歳の女性がいた。この小さな事件が、この女性との出会いが、僕の転生の謎についてのヒントとなることを知るのはそう遠くない未来のことだ。
更新がかなり遅れて申し訳ございません。
新年度の準備でゴチャゴチャしてました。
これからはまた今まで通りの速度で更新するつもりです。
次は今日の昼頃です。




