天の人
「何度もお救いくださり、ありがとうございます」
「たいしたことはしてないですよ。それより、これからどうするのですか? また襲われるかもしれませんよ」
相手の動きには明らかに計画性が見られた。恐らくこれからも襲撃は繰り返されるだろう。
「そうでございますね。ラスタ様さえよろしければ、エリーだけでもお近くにいさせたいのですが……」
エリーとは恐らく姫様と呼ばれていた少女のことだろう。確かに1番標的になっていた気がする。
「すみません。俺たちはこれからラウール学園へ通い、寮で暮らすので、護衛はその……」
「そうだわ! エリーもラウール学園へ通わせましょう!! あそこなら大賢者様もいらっしゃいますし、安心だわ!」
「そうだな。そうしようか」
お父様超適当だな。まぁ、それなら大丈夫そうだが。
「でもお父様やお母様はどうなるのですか?」
「私たちは大丈夫! 今回の標的はエリーなんだから!」
それじゃ根本的な解決にはなってない気が……
そう言おうとしたが、王女の顔を見てやめた。
この人たちは覚悟ができている。間違いない。この人たちは死ぬ気だ。それも何かヤバイもののために。
唯一の心残りが姫様なのだろう。
そんな人たちの覚悟にどう答えるか、そんなのは決まってる。
「わかりました。俺も最大限、姫様のサポートをするつもりですのでご安心を」
「ありがとうね!じゃあ私たちはもう行くからエリーをよろしくお願いします」
その背中は何よりも威風堂々としていた。王の素質というもの、いや親の素質と言うべきものなのか、とにかく威厳を感じた瞬間だった。
3日後、王達の死亡が確認された。真相は明らかになることはなかった。もちろん姫様へはこのことを伝えていない。俺もこの事件に関わることは本能的に危険だと察し、諦めた。
「いよいよ入学試験だな!みんな、準備は出来てるか!?」
「ギリギリだよぉ……」
「頭が痛いですわ……」
2人とも賢そうなイメージがあったのだが……
「エリーは仕方ないにしても、ミセルはなぜだ!」
「むしろなんでラスタが算数出来るのかが謎だよぉ……いつ習ったの?」
「そんなもの常識だろう」
そうか、俺は転生したからな……算数なんて誰でも出来ると思ってた。
「むぅ……」
「ま、まぁ出来るようになったんだったらいいじゃんか! 筆記で点取れたら実技は余裕だろ?」
「私はそうではございません……」
「だ、大丈夫だよ! 王様達が話をつけてくださってるはずだから!」
「そ、そんなの断固認められませんわ!!」
「やっぱエリーは正義感が強いな……」
そして俺は罪悪感が凄い。
「そんなの……そんなの……今までの勉強が無意味になるじゃないですの!! もっと早く言いなさいよ!!」
前言撤回。だめだこの人。
「坊ちゃん、ミセルさん、あなた方2人もメイ大賢者様が直接ラウール様に話を通されていらっしゃるので、裏口から入れると思いますが」
「うんへーそーなんだー。しらなかったなーあはははは」
「ラスタ、正座」
「ミセルさん、顔が怖いですよ……?」
「正座」
「は、はいっ!!」
俺は正座した。
「で、でもですね?算数はこれから先必要だと思うし、知ってて損はないと思うんだ?」
「へー。ラスタどんな教え方してたっけ?」
「き、記憶にございません……」
「≪小天風≫」
頬を風が掠めた。今日は風が騒がしいな……
「す、すみません!!ミセル様の可愛らしい猫耳をモフモフしながら教えてました!!!反省してます!!!」
「言い残すことはそれだけ?それじゃあさようなら」
「や、やめて?ねぇ、助けて……」
「このセクハラスタァァァア!!!」
「ギャァァァァァァア!!!」
その日俺は天の人になった。教科書と繋がった楽しい教材に……
ネタがどこまでセーフなのかわからない……
最近短めだったので、少し伸ばしました。この長さが普通かもしれませんが……
次は晩に投稿です




