後日談②
「まずはわしの無詠唱魔術の秘密についてじゃ」
俺と、羊頭の悪魔の襲撃の際に助けた獣人のミセルはじいさんの授業を受けていた。
ミセルは「もう目の前で人が殺されるのをただ見ているだけなのはいやだ!」とじいさんに修行を嘆願した。
じいさんは頑なに拒んだ。そりゃあ、大賢者が魔術を教えるってなったら誰だって教わりたいはずだし、1人に教えたら他の人を拒む理由がなくなる。
「でもそしたら俺を教える時点で一緒じゃね? は〜くっそー。メイ大賢者師匠様からのありがたい修行が受けられないのか〜あーくやちー」
という俺の一言により、ミセルはじいさんの弟子となった。その時のミセルの俺を見る目は俺の胸に刺さった。
ちゃうねん。お前を助けるためじゃないねん。自分が修行から逃れるためだけに言ってん。そんな羨望を込めた目でうちのことみんといてぇや!
という過程を経て、俺もミセルもじいさんの弟子入りをした。
「無詠唱の方法には様々なものがある。おそらくお主たちも魔力代替については知っておるじゃろう?」
「「もちろんです」」
ミセルも知っていたのか。意外だな。ミセルは獣人だから魔法には疎い印象があるんだがな……
「ほぅ、坊主は当たり前として、獣人の嬢ちゃんも知っていたとはな……」
「……私、エルフの血も、持ってますから…………」
ハーフエルフ?なのかな?獣人とエルフの混血なんて聴いたことないぞ?まぁ確かに、流れるような綺麗な金髪、クリクリとした目、透き通るような白い肌、猫耳、華奢な体、鋭い犬歯、見た目でエルフと獣人の特徴が上手く調和しているのがわかる。
はっきりいってめちゃくちゃ綺麗だ。大人になったら美女になりそう。
「混血種……それもエルフのか。ふむ、お主、よく今まで何事もなく生きて来れたな? 迫害はされなかったのか?」
確かに差別はありそうだな。
「お父さんたち、怖かった。何度も殺されかけた。けどお母さんたち、みんな優しかった。私を助けてくれた……」
お母さん、獣人の方か。獣人は他種族に対して寛容って聞いたことある。
対してエルフは徹底的に排他主義であり、利潤をもたらさない他種族に対しては差別を行うとも聞いた。
「まぁ、続けるか。魔力代替が詠唱を魔力で補ってるのに対して、わしが使っている無詠唱、"言動代替"では決められたジェスチャーで補っているんじゃ」
な、なるほど……地面に手を着くだけで転移魔法を使ったり、指パッチンだけであんな地獄のような魔法を放ったりできたのもそれが原因か……
「まぁ、これを使えるようになるには魔法に対する強力なイメージを持たねばならぬ。これからはその訓練をする。」
そうして俺たちの訓練が始まった。
んー…なんとも締まらない感じになりましたが、前章終了です。
次は晩に投稿します。




