第5章 - 狂戦士
※この話には激しい暴力描写および強い言葉遣いが含まれます。
アレクサンドリアは血と灰と砕けた石の間に立っていた。
呼吸が重かった。
一息ごとに胸が焼けた。心臓の一打ごとに痛みが全身を駆け巡った。熱く、容赦なく。脚が震えていた。血はまだ伝い落ち、広場に滴り、そこで煤と埃とエヴァルトの最後の残滓と混じり合った。
エヴァルト。
その名前が頭を切り裂いたが、唇からは何の音も出なかった。
今は、まだ。
前方にはアナスタシア、灰色の魔神が立っていた。唇に血を塗り、嘲りの笑みを浮かべて。翼は半ば広がり、暗く、巨大で、毒緑と紫の渦巻きがゆっくりと互いの中で回っていた。九つの炎が引き裂かれた夜の中でちらついていた。赤。青。銀。茶。金。黒。緑。紫。白。
そのひとつひとつがアレクサンドリアを嘲笑っているかのようだった。
アナスタシアの手の中の戦槌が混沌のエネルギーで輝いていた。暗い金属。紫の亀裂。柄に沿った棘。単なる武器ではなかった。宣告だった。
アレクサンドリアが頭を下げた。
指がより固く両手剣を握りしめた。
柄の革がきしんだ。
拳が白くなった。
目の中の光が変わった。明晰さが退いた。完全にではない。正気を失う者のようにではない。むしろ、余分なものすべてを排除する捕食者のように。痛み。恐怖。疲労。悲嘆。
すべてが後方に押しやられた。
残ったのは敵だけだった。
目がガラスのようになった。
筋肉が緊張した。
震えが腕を走った。弱さではなく、危険な震え。限界まで引かれてなお切れない弦のように。
アナスタシアがそれに気づいた。
笑みがほんのわずかに広がった。
「あら?」
アレクサンドリアがゆっくりと顔を上げた。
赤い髪が額と頬に張りついていた。血が顎を伝っていた。唇がひび割れていた。身体は今にも崩れ落ちそうだった。
だが目が燃えていた。
「狂戦士を見せてやる」と彼女は唸った。
言葉は喉の奥から出た。
大きくはない。
その必要もなかった。
広場そのものがそれを聞いたかのようだった。
アナスタシアがわずかに身を起こした。白い炎がより明るく燃え上がった。まるでこの挑戦を待っていたかのように。
アレクサンドリアが右足を強く地面に踏み込んだ。
足元の石が砕けた。
風と塵が円形に吹き飛んだ。身体が前方に傾き、両手剣が頭上に持ち上がった。重い刃が燃え盛る炎の光を捉えた。一瞬、彼女は火で塗られた夜の欠片のように見えた。
そしてアレクサンドリアが刃を上段から振り下ろした。
「水竜剣流!」
青い光が刃に沿って爆発した。
穏やかな輝きではなかった。流れていた。うねっていた。剣の表面の下で水が暴れるかのように金属の上に軌跡を描いた。斬撃が波のように落ちてきた。重く、深く、圧力に満ちて。刃の前の空気がゆがんだ。煙と夜から湿気が集まり、きらめく雫となり、青い筋となって攻撃を追った。
斬撃は地面に届かなかった。
まだ。
魔力の波を引き連れ、アナスタシアに向かって突進した。敷石が剥がれた。灰が吹き飛んだ。アレクサンドリアの足元の広場が振動した。
アナスタシアが一歩退いた。
恐怖からではない。
計算から。
左足がエヴァルトの残骸の上に降りた。
ゆっくりと。
意図的に。
踏みしめる圧力で、靴底の下で湿ったものが潰れた。
アレクサンドリアはそれを見た。
瞳孔が収縮した。
彼女の中で何かが折れた。
骨ではない。肉でもない。
制御だった。
アナスタシアの笑みは変わらなかった。
「簡単すぎる」
アレクサンドリアの呼吸が止まった。
そして叫んだ。
整った鬨の声ではなかった。怒りと苦痛と喪失から生まれた生の叫びだった。刃がほとんど地面に触れていないのに、全力で押し上げた。水竜の斬撃は途切れなかった。方向を変えた。青い力が弧を描いて上方へ跳ね上がった。まるで波が天に向かって叩きつけられたかのように。
「天竜剣流!」
声が広場に轟いた。
刃が上方に跳ね上がった。
青い光が白と銀に砕けた。攻撃が一呼吸の内にその性質を変えた。水の重い衝撃から、上昇する輝きへ。速く、鋭く、眩く。光の竜が地面から天に向かって飛び立つかのように。空気が刃に沿って悲鳴を上げた。瓦礫が巻き込まれた。石の欠片、灰、火花、そして血。
アナスタシアが反応した。
右拳を握りしめた。
赤い炎が拳に飛び込んだ。
炎が指の関節を這った。最初は赤く、やがて芯が白くなった。熱があまりにも突然広場を叩き、石の上の濡れた血がじゅうと音を立てた。欠損した手は脇で静かなまま。もう片方の手が引かれた。
「ファイア・パンチ」と彼女はささやいた。
そして殴った。
拳が刃にぶつかった。
衝突が一瞬すべての音を喰った。
そして轟音が来た。
炎と光の波が広場を薙いだ。周囲の家屋の窓が砕けた。燃える梁が壁からもぎ取られた。空気が熱い塵と青い火花で満たされた。アレクサンドリアの天竜の光がアナスタシアの炎と押し合い、二つの力が噛み合い、引き裂き合い、爆ぜた。
アレクサンドリアが足元を失った。
身体が弾き飛ばされた。
数メートル広場を飛び、崩れた壁に激突し、突き抜けた。石が砕け散った。背中から落ち、瓦礫の上を転がり、剣の先端が地面に刺さってようやく止まった。
一呼吸の間、動かなかった。
服から煙が立ち上っていた。
手が血まみれだった。
唇が開き、湿った息が漏れた。
そして指が動いた。
柄を掴んだ。
引いた。
刃が地面から抜けた。
アレクサンドリアが身を起こした。
脚の震えは先ほどより強かった。血が暗い線となって肌を流れていた。腹の奥で痛みが締めつけた。深く、残忍に、警告するように。一瞬、目の前の世界が揺れた。炎が赤い斑点になった。アナスタシアの姿がぼやけた。九つの炎が闇の中の色のついた傷跡になった。
倒れるな。
歯を食いしばった。
まだだ。
アナスタシアが翼を開いた。
巨大な影が広場に広がった。翼の渦巻きがより速く回転した。毒緑と紫が家屋の壁を這い、灰と血と壊れた屋根の上を這った。そして彼女は浮かび上がった。
高くはない。
ほんの数メートル。
だがそれで十分だった。
もう広場に立ってはいなかった。その上に浮かんでいた。空気と夜とその下の苦痛が自分のものであるかのように。
「ねえ」とアナスタシアは言った。
声は再び穏やかだった。
どんな叫びよりも、それがアレクサンドリアの怒りを煽った。
アナスタシアが首をかしげた。口元にはまだ血が光っていた。
「お前は生かしておく」
アレクサンドリアが剣を持ち上げた。
腕が震えていた。
アナスタシアが嘲笑った。
「お前の子供を探す」
その言葉は戦槌より深く切り込んだ。
アレクサンドリアの呼吸が止まった。
「見つけたら」とアナスタシアは言った。「お前の目の前で殺す」
一瞬、広場が消えた。
本当にではない。炎は燃え続けていた。悪魔たちは旋回していた。夜がすべてにのしかかっていた。
だがアレクサンドリアの中にはただひとつの部屋だけがあった。
二つの包み。
レア。
ラース。
戦いに出る前に口にした名前。まだ世界に馴染んでもいないのに、もう女神の影に脅かされている名前。
目が暗くなった。
ガラスのような光がより深くなった。空虚ではない。より黒く。
完全に身を起こした。
「その前にお前が死ぬ!」
叫びが体から噴き出し、前方の空気を吹き飛ばした。
風魔法が再び足元に集まった。今度はより粗く、より荒々しかった。優雅な術ではない。制御された歩みでもない。怒りを無理やり動きに変えたもの。灰が舞い上がった。小石が地面から浮いた。血の雫が脚からもぎ取られ、暗い雨のように空中に散った。
アレクサンドリアが突進した。
より速く。
より激しく。
身体が折れたがっていたが、意志がそれを殴り続けた。両手剣は体の低い位置にあった。刃が地面を擦り、石の上を跳ね、火花を引いた。一歩ごとに火花が明るくなった。最初は赤。次に金。次に銀。
アナスタシアが再び降下した。
黒い炎が近くの光を喰っていた。紫の炎が揺らめいていた。戦槌がゆっくりと持ち上がった。十分に近づいた瞬間にアレクサンドリアを叩き落とす準備。
アレクサンドリアが近づいた。
唇が動いた。
最初は静かに。
やがてより明瞭に。
「聖樹タリウムの聖剣流」
その名が空気を変えた。
大きくはなく。
雷鳴を伴うでもなく。
むしろ、広場に木など一本も立っていないのに、太古の梢の葉を吹き抜ける一息のように。アレクサンドリアの手の中の刃が輝き始めた。もう単純な銀ではない。青でもない。白でもない。
虹色の光が金属を満たした。
刃の中で砕け、何度も何度も、まるで刃の中に無数の見えない面があるかのように。色が競い合った。赤、青、金、緑、紫、白、銀。剣が動くたびに光が分かれた。一瞬、両手剣はもはや鋼の武器ではなく、この闇に飲み込まれることを拒む聖なる何かの欠片だった。
アナスタシアが止まった。
ほんの一瞬だけ。
だが止まった。
目が細くなった。螺旋虹彩の回転が遅くなった。初めて、その視線に嘲りだけではないものがあった。
アレクサンドリアはそれを見た。
跳んだ。
風魔法が彼女を前方と上方に引き裂いた。身体が回転し、剣が虹色の弧を夜に描いた。色が煙を切り裂いた。一呼吸の間、燃える家屋も、破壊された通りも、地面の血も、アナスタシアの灰色の肌さえも、砕けた光に包まれた。
「私は人外の狂戦士なんかじゃない!」とアレクサンドリアが叫んだ。
声は震えなかった。
先ほどよりも澄んでいた。
より硬く。
「私はアレクサンドリア、聖樹に選ばれし者!」
刃がアナスタシアに向かって落ちた。
アナスタシアの翼がぴくりと動いた。戦槌が持ち上がった。周囲の九つの炎が同時に反応した。金の炎がより眩しく燃えた。黒が広がった。紫が偽りの複数の位置でちらついた。緑が脈打った。赤が火花に弾け、再び集まった。
アレクサンドリアの攻撃が落ちた。
アナスタシアは退かなかった。
アレクサンドリアを見据えた。
そして口をゆがめた。
にやりとした笑みではなく。
もっと硬い何かに。
「ならば死ね」と彼女はささやいた。
両手を開いた。
戦槌が地面に落ちる前に煙と消えた。両手の間に混沌のエネルギーが集まった。最初は小さな黒い点として。次に紫緑の渦として。そして矛盾する力の回転する球体として。
周囲の空気がゆがんだ。
敷石が地面から浮き上がり、アナスタシアの手に届く前に塵と崩れた。九つの炎が渦に引き込まれた。完全にではないが、その色が細い線となって混沌の球体に伸びた。火、水、風、土、光、闇、回復、幻術、強化がねじり合わされた。
アレクサンドリアの虹色の刃がそれに向かって突進した。
アナスタシアの混沌のエネルギーが膨張した。
広場が息を止めた。
「はいはいはい、ストップ」
ティンケの声が割り込んだ。
戦いにではない。
物語に。
燃える広場も、アレクサンドリアも、アナスタシアも、混沌のエネルギーも虹色の刃も、本当には止まらなかった。だがそこに注がれていた視線が遠ざかった。まるで誰かが世界を二本の指でつまみ、脇にずらしたかのように。
星々が現れた。
宇宙。
糸。
きらめく球体。
そしてティンケ。
運命の女神は玉座に座ってはいなかった。球体の上に半ば覆いかぶさるように、肘を見えない面に乗せ、両頬を両手に押しつけていた。黒と白の翼が背後に広がり、何枚かの羽が斜めに垂れていた。まるで急いでこの姿勢を取ったかのように。
球体をまっすぐに見つめていた。
それから目を上げた。
「言いたいことは分かってるわ」
ティンケが指を一本立てた。見えない観客の言葉を遮るように。
「子供たちはどうなったの? この物語の主役じゃないの? 生まれてもいない赤ちゃんがどうやって転生できるの?」
身を起こし、顔をしかめ、それから両手を振った。
「でも聞いて!」
足元の球体の中で凍結した瞬間がちらついた。跳躍するアレクサンドリア。混沌のエネルギーを纏うアナスタシア。煙と砕けた光に満ちた広場。やがて映像が進んだ。ティンケが指先で飛ばしたかのように。
「私は運命の女神よ」と彼女は言い、片手を胸に当てた。「自分が何をしているか分かっている」
少し間を置いた。
目がちらりと横に流れた。
「たぶん」
小さなにやりとした笑みが顔を這った。
「そう信じてる」
再び球体の上に身をかがめた。その中の光が目に映った。一瞬、遊び心だけではなく、混沌だけでもなく見えた。視線の中の何かが注意深く、ほとんど真剣だった。無数の糸が指の間を走っていた。明るいもの、脆いもの、ほとんど消えかけているほど細いもの。
そのうちの二本が特に弱くきらめいていた。
重要でないからではない。
まだ始まったばかりだから。
ティンケは触れなかった。
ただ微笑んだ。
「でもこの二人に関しては、とても、とても確信がある」
糸が震えた。
「この二人がこの世界を救う」
ティンケがうなずいた。まるで神聖な判決を下すと同時にひどい冗談を用意したかのように。
「きっとやり遂げる」
再び目を上げた。
「心配しないで。私は運命を知っている」
ほんの一瞬の沈黙。
そしてより広くにやりと笑った。
「たまにはね」
手を振った。まるでその些細な点は大したことではないかのように。
背後の星々がゆっくり回っていた。彗星が遠方を横切った。どこかで運命の糸が一本切れたが、ティンケは見なかった。あるいは、見ていないふりがとても上手だった。
「さて」と彼女は歌うように言った。「続き」
球体が輝いた。
闇。
そして朝。
エミリアは、最初の陽光が窓から差し込んで目を覚ました。
温かい光が顔に落ちていた。埃がその中をゆっくりと穏やかに舞っていた。まるで世界が一度も燃えたことなどないかのように。何呼吸かの間、じっと横たわっていた。身体が重い。骨が、夜が自分を歳取らせたかのように感じた。やがて明るさに瞬きし、横を向いた。
部屋は質素だった。
木の壁。小さなテーブル。畳んだ布が乗った椅子。ベッド脇に水の入ったコップ。窓辺に小さな束にした乾燥薬草が並び、家のどこかで朝の温もりに木がきしんでいた。
エミリアが身を伸ばした。
肩からかすかな音がした。
息を吐いた。
そして聞こえた。
金属と金属がぶつかる音。
響き。
間。
再び金属。
鈍い打撃が続いた。より重く、より深く。そして地面を短く掻く音。もう一打。
エミリアが片目をさらに開けた。
「もうこんな早くから稽古してるの?」
声は寝起きで嗄れていた。
あくびをして、掛け布を脇にのけ、ゆっくり起き上がった。光が目を鈍くした。しばらく座ったまま、顔を擦り、耳を澄ませた。
再び二つの武器がぶつかった。
今度はより速く。
高い金属音、そして鈍い衝撃。
エミリアがため息をついた。
「当然よね」
立ち上がり、簡素な上着を肩にかけ、窓に向かった。足元の床板がきしんだ。外の空気は朝露と土と竈の薪の匂いがした。木々のどこかで鳥が鳴いていた。かすかな風が葉を揺らし、遠くの小川のせせらぎを運んできた。
エミリアがカーテンをめくった。
外にレアとラースが立っていた。
二人とも八歳になっていた。
中庭が朝の柔らかい光に包まれていた。湿った土にたくさんの小さな足跡がついていた。端に刻み傷だらけの木杭が何本か立っていた。倒れたバケツが薪の山の横に転がっていた。子供たちの一息一息がかすかな白い靄になるほど涼しい空気だった。
レアが裸足で草の上に立っていた。
長い茶色の髪が雑にまとめられていたが、何本かの筋がほどけて頬に張りついていた。緑の目がまっすぐにラースに向けられていた。両手に剣を持っていた。同い年の普通の少女には大きすぎたが、必死の真剣さで構えていた。腕が疲労でかすかに震えていた。
ラースが向かい合って立っていた。
赤い髪が乱れていた。顔から払おうとすらしていないようだった。黒い目は覚醒し、集中していた。手には戦槌。アナスタシアの武器のような巨大で邪悪なものではなく、より小さな練習用の武器。鈍く、重く、それでも子供には十分に手強い。足を広く開き、肩を張り、レアの刃に目を向けていた。
レアが攻めた。
剣が斜めに下方への弧を描いた。ラースが戦槌を上げたが、受けが遅れ、一歩押し戻された。踵が湿った土の上で滑った。顔をしかめ、歯を食いしばり、押し返した。
レアがその瞬間を活かした。
刃を横に回した。
ラースがぎりぎりで身をかわした。
剣が赤い髪の上を掠めた。
彼は戦槌の短い突きでレアの脇腹を狙い返した。レアは跳び退き、ほとんどつまずきかけたが、持ち直して剣を再び構えた。
エミリアが窓に寄りかかった。
目が柔らかくなった。
気楽ではなく。
それは決してなかった。
だがこの一瞬、そこには温かいものがあった。朝の光の中の二人の子供。二つの武器。二つの、あまりにも真剣な顔。血と炎の夜に終わるはずだった二つの命。
レアが再び踏み込んだ。
ラースが武器を上げた。
再び金属が金属にぶつかった。
中庭の端の影から声がした。
「お前たちの構えはクソだ」
レアとラースが固まった。
その人物は朝日の光が届かない場所に座っていた。輪郭だけが見えた。静かに。もたれかかって。観察しながら。片手がかすかに上がった。まるで先ほどの一戦など語るに値しないかのように。
そして次の命令が来た。
「もう一回!」




