第4章 - 神聖なるものと有限なるもの
※この話には極めて過激な暴力描写(残虐な殺害シーンを含む)、流血表現、および強い言葉遣いが含まれます。苦手な方はご注意ください。
「お前たちが、私の子を殺した」
アナスタシアの声が広場に重い雷鳴のように転がった。
通常の意味で大きくはなかった。叫ぶ必要がなかった。一つひとつの言葉が重みを持ち、肌と骨と心臓の鼓動を圧した。鎧戸が震えた。燃える家屋の最後の炎が風にひるんだ。屋根の上の翼のある悪魔たちはもう無秩序には叫ばず、より広い距離を保って旋回していた。まるで自分たちでさえ、主が話し終えるまで待っているかのように。
アナスタシアは破壊された広場の端に立っていた。
頭の後ろの紫の輪が引き裂かれた月のようにちらついていた。周囲では力の炎が踊っていた。それぞれ異なる色で、それぞれ独自のリズムで。赤は飢えのようにはじけた。青が怠惰に深く転がった。銀が素早くちらつき、ほとんど掴めなかった。茶色が重く鈍く燃えた。金が冷たく輝いた。黒が光を飲み込んだ。緑が生きるべきでない心臓のように脈打った。紫が自らの位置について嘘をつくかのように揺れた。白が硬く、澄んで、残酷に燃えた。
毒緑と紫の反転螺旋虹彩を持つ目が、アレクサンドリアに向けられた。
「その報いに、お前たちを滅ぼす」
広場は沈黙で応えた。
そしてアレクサンドリアが動き出した。
まだ蒼白だった。血が脚を伝い、灰の上に滴り、彼女の後ろに暗い跡を引いていた。呼吸は荒い。一歩ごとに身体が折れてもおかしくなかった。つい先ほど双子を産んだばかりで、身体は休息を、水を、無理やりベッドに戻す手を求めて叫んでいた。
アレクサンドリアはそのどれも与えなかった。
風魔法が足元に集まった。
最初は塵と灰の細い渦にすぎなかった。やがて歩みを加速させる鋭い気流となった。靴はほとんど地面に触れなくなった。破片、藁くず、火花が魔法に巻き込まれ、脚の周りで渦を巻いた。上体を低く構えてアナスタシアに突進する。
「ああ、黙りやがれ!」とアレクサンドリアが叫んだ。
嗄れた声だが、怒りに満ちていた。
「子供はまだ八人いるでしょ。だから泣くんじゃないわよ!」
数歩後ろのエヴァルトが凍りついた。
侮辱のせいではない。魔神に向かってこう叫ぶ冒涜のせいでもない。一歩ごとに血を流しながら、それでもアレクサンドリアが加速していくからだった。
アナスタシアは目を細めただけだった。
周囲の赤い炎がより高く燃え上がった。
アレクサンドリアが両手剣を振り上げた。刃が燃える家屋の光を捉えた。重く、幅広く、刃こぼれだらけ。そして体を回した。身体がぐらつき、脚が震えていても。風魔法が刃に集まった。最初は薄い膜として、やがて荒れ狂う輪として。
「ホワールウインド!」
斬りつけた。
渦が刃から離れ、前方に疾走した。普通の風ではなかった。銀色の線がきらめく刃のように気流の中で輝く、斬撃の嵐だった。攻撃は地面を抉り、敷石をもぎ取り、煙と塵と倒れた梁の残り火を切り裂いた。近づくものはすべて破片に引き裂かれた。
まだ家屋の影に隠れていた人々が怯えて首をすくめた。どこかで子供が泣いていた。負傷した男が肩を押さえ、アナスタシアに向かって突進する嵐を口を開けて見つめていた。
アナスタシアはほとんど動かなかった。
片手を上げただけだった。
指は長く、灰色で、暗い亀裂が走っていた。紫の血管が皮膚の下で輝いていた。渦がほぼ到達したとき、彼女は宙を打った。
嵐に対してではない。
その下にある何かに対して。
「ディスターブ・スキル」と彼女はささやいた。
言葉は静かだった。
効果はそうではなかった。
旋風が動きの途中で停止した。銀の刃がちらついた。嵐がゆがんだ。まるで誰かが魔法の内部構造を引き剥がしたかのように。一瞬、アレクサンドリアの術がこの目に見えない妨害と戦った。風が広場を叫び、塵が家屋に叩きつけられ、アナスタシアの炎のひとつが紫に燃え上がった。
そして攻撃が崩壊した。
嵐は無害な突風に散った。灰が広場に降り注いだ。切り刻まれた火花が地面に触れる前に消えた。
アレクサンドリアは激しく着地し、敷石の上を滑り、剣で体を支えた。刃が地面に深い線を刻んだ。
アナスタシアが手を下ろした。
「そう」と彼女は静かに言った。「あと八人の子供」
声に悲しみはなかった。それが余計に恐ろしかった。泣き崩れた母がそこにいるのではない。打ちひしがれた女でもない。ただ灰色の肌をまとった神聖な災害が、喪失を判決のように纏っているだけだった。
視線がアレクサンドリアを貫いた。
「子を産め」とアナスタシアは言った。「お前の目の前で殺してやる」
隣の緑の炎がより強く脈打った。
「そうすれば、お前にもこの気持ちが分かるだろう」
広場が冷たくなった。
アレクサンドリアがよろめいた。
ほんの一瞬。ほぼ誰にも見えないほど短く。だがエヴァルトには見えた。剣を握る手が変わった。指がより固く柄を締め、拳が白くなった。新しい血が脚を伝い、靴の間に滴っていた。
アナスタシアの言葉は空虚を打ったのではない。
アレクサンドリアの背後の部屋を打った。揺りかごを。二つの包みを。ほとんど口にされていないのに、すでに女神の影の下に立つ二つの名前を。
アレクサンドリアがゆっくり顔を上げた。
目に懇願はなかった。
むき出しの憎悪だけがあった。
「エヴァルト!」とアナスタシアから目を逸らさずに叫んだ。「石にでもなったの? なんで攻撃しないのよ!」
エヴァルトがびくりとした。
硬直から指が解けた。弓を構えたが、弦が手の下で微かに震えた。魔神の存在感がまだ二人の上にのしかかっていた。肩を、肺を、意志を押し潰していた。魔力は指の間にためらいがちにしか集まらなかった。
アレクサンドリアが血か唾を吐き出した。おそらく両方。
「本当に使えない男ね!」
それは刺さった。
エヴァルトの顔がゆがんだ。勇気が足りないところを怒りが補った。鋭く息を吸い、指を広げると、魔力の矢が手に形成された。もう一本。さらにもう一本。すぐには撃たず、隣に浮かべた。光がその中に集まった。細く、明るく、危険に。
アナスタシアは彼のほうを見もしなかった。
それが余計にひどかった。
「お前の娘のほうが不可侵条約を守らなかったんだ!」とエヴァルトが叫んだ。
声は本人が望んだより緊張していた。だが言葉は放たれた。焼けた壁に沿って、煙と灰を抜けて広場に響いた。
アレクサンドリアが再び突進した。
「そのとおりよ!」
両手剣を引きずっていた。風魔法が脚を包んでいたが、さっきより弱い。それでもまだ地面から塵をもぎ取るほどには鋭かった。
「この戦争を始めたのはお前たちよ!」
折れた梁を飛び越え、崩れた壁の上に着地し、再び蹴り出した。
「もう終わりにしてやる、今度こそ完全に!」
アナスタシアがわずかに顔を上げた。
背後の紫の輪がより激しくちらついた。
アレクサンドリアが剣を振り上げた。
「悪魔が神であるわけがないでしょう!」
最後の一言はただの鬨の声ではなかった。憎悪であり、信仰であり、反抗であり、断罪だった。同時に。
斬りかかった。
刃が上段から落ちた。鎧を着た騎士を盾ごと両断できるほどの重さ。アナスタシアが手を上げ、攻撃を受け止めた。
金属が灰色の肌にぶつかった。
鈍い衝撃が広場を揺らした。
アナスタシアの足元の地面に亀裂が走った。風圧がアレクサンドリアの赤い髪を顔から吹き飛ばした。ほんの一瞬、二人は向かい合って立っていた。血まみれの脚を持つ有限の戦士と、素手で刃を受け止める魔神。
そしてアレクサンドリアが笑った。
美しい笑みではなかった。
痛み、出血、たった今母になったばかり、それでもなお噛みつく術を見つけた女の笑みだった。
「聖樹の竜剣流」と彼女はささやいた。
銀色の光が刃を這い上がった。
柄から始まった。かすかなきらめきとして。やがて細い脈となって金属の上に広がった。根のような、枝のような、鋼の中を生きて育つもののような線。剣が振動した。大きな轟音ではない。胸の奥で感じる深い響き。
アナスタシアの目が細くなった。
遅すぎた。
刃が指一本分、深く沈んだ。
さらにもう一本分。
灰色の肌が裂けた。
現れて以来初めて、アナスタシアは傷を負った。
銀色の光が手のひらに焼き入った。暗い血がにじみ出た。ほぼ黒く、紫の輝きが走っていた。普通の血の匂いではなかった。金属と嵐と、胃に吐き気を催す甘い何かの匂いがした。
アナスタシアが素早く手を引いた。
アレクサンドリアはすかさず追撃した。
この身体がもうこんな反応をしてはならなかった。出産の後では。出血の後では。女神の存在感の下では。だがアレクサンドリアは生々しい、人間離れした苛烈さで動いた。刃を返し、踏み込み、横に斬った。
アナスタシアが後退した。
十分ではなかった。
銀の刃が三本の指を切り落とした。
敷石の上に落ちた。
一瞬、誰もそれ以外のものを見なかった。
三本の神の指が灰と血の間に転がっていた。灰色で、ひび割れ、まだ紫の魔力が通っていた。黒い血が地面に触れると音を立てて沸いた。敷石に細い亀裂が走った。
アレクサンドリアの呼吸が荒い。
笑みはまだそこにあった。
「神、ねえ」
エヴァルトが手を振り出した。
集めていた魔力の矢がアナスタシアに向けて飛んだ。
一本ずつではない。
雨のように。
数十本の光の矢が空気を切り裂いた。上から、左から、右から。まっすぐなもの、浅い弧を描くもの。エヴァルトの顔は張り詰め、目はアナスタシアに固定されていた。最初の矢が降り注ぐ間にもさらに矢を生み出し、即座に追わせた。
広場が明るい光に貫かれた。
アナスタシアが一歩退いた。
そして翼を自らの上にかぶせた。
暗く引き裂かれた大翼が巨大なマントのように身体を包んだ。翼上の渦巻きが輝いた。紫と毒緑。ますます速く回転する。エヴァルトの矢が着弾した。
光が翼の上で弾けた。
一本また一本と暗い表面で砕けた。指一本分食い込んだものもあったが、紫の線に飲み込まれた。弾かれて家の壁や街灯の柱、広場の端の泉に激突したものもあった。水が宙に跳ね、灰と混じり、細い流れとなって地面を走った。
アレクサンドリアが逸れた矢に当たらないよう跳び退いた。
「どこ撃ってんのよ!」
「邪魔なところに立つな!」とエヴァルトが叫び返した。
声はほぼ平常だった。
ほぼ。
アナスタシアは翼の下で平然としていた。
最後の矢が砕けると、翼がゆっくりと再び開いた。
まだ立っていた。
手は出血していた。三本の指がなかった。銀の光が傷口でかすかに輝き、やがて緑の回復魔法が現れた。傷は完全には塞がらなかったが、出血は止まった。アナスタシアは自らの欠損した手を眺めた。負傷しているというより、興味を引かれているかのように。
それからアレクサンドリアを見た。
「お前たち有限の種族にはどうしても分からないのだな」と彼女は言った。「他に神など存在しない、ということが」
声には動揺がなかった。
怒りもない。痛みもない。恐れもない。
ただ、あの危険な静けさだけ。
アレクサンドリアが地面に唾を吐いた。
「喋ってろ。自分の傲慢さで死ぬかもね」
アナスタシアの視線が彼女に留まった。
そして笑った。
ゆっくりと。ほとんど愉悦に。
螺旋虹彩が回転し、毒緑と紫の輝きが目の中で強くなった。アレクサンドリアはその視線に耐えたが、身体が裏切っていた。呼吸が速すぎた。脚が震えていた。血は依然として地面に滴り続けていた。
「見たところ、出血しているな」とアナスタシアは言った。
アレクサンドリアの剣を握る手がより固くなった。
アナスタシアが首をかしげた。
「もしや、出産したか?」
エヴァルトが凍りついた。
一瞬だけ。だがそれで十分だった。
アナスタシアはそれを見た。
笑みがさらに広がった。
「お前は称号に恥じぬな」と彼女は言った。「アレクサンドリア、人外の狂戦士」
その称号が広場を滑り、影に潜む数少ない人々を震わせた。知っている者もいた。囁きでしか聞いたことのない者もいた。出産直後に立ち上がり、両手剣を取って魔神に突進する女は、その名に相応しかった。
アレクサンドリアが目を細めた。
「お前には関係ないでしょ、このクソ化け物」
声は嗄れていたが、安定していた。
「とっとと失せろ!」
アナスタシアはすぐには答えなかった。
アレクサンドリアを見た。
それからエヴァルトを。
再びアレクサンドリアを。
周囲の炎がゆっくり動いた。紫と緑が絡み合い、まるで幻術魔法と回復魔法が彼女の中で囁き合っているかのように。黒い炎が近くのすべての光を喰った。金の炎が冷たく誇り高く燃えた。
エヴァルトが再び弓を構えた。
だが目が肩越しに走った。
ほんの一瞬。
家のほうへ。
それは小さな過ちだった。
反射。まばたきほどの視線。アレクサンドリアのことを考えたのかもしれない。産婆のことかもしれない。先ほどまで泣き声が聞こえていた子供たちのことかもしれない。ただ家がまだ建っているか確認したかっただけかもしれない。
アナスタシアはすぐに気づいた。
笑みが静かになった。
そして消えた。
跳躍ではない。疾走でもない。羽ばたきでもない。
一瞬前まで、彼女はアレクサンドリアの前に立っていた。
次の瞬間、そこには紫の煙しかなかった。
アレクサンドリアの目が見開かれた。
「エヴァルト!」
振り返ったのは遅すぎた。
アナスタシアはすでに彼の背後にいた。
暗い翼が彼を貫いていた。
羽ではない。引き裂かれた翼から突き出す鋭い、棘のような突起のひとつ。エヴァルトの腹を貫通し、身体の前面から飛び出していた。血がそれを伝って流れた。熱く、暗く。敷石に滴り、冷たい空気の中で湯気を立てた。
エヴァルトの弓が手から落ちた。
自分の身体から突き出ているものを信じられないかのように、下を見つめた。
そして血を吐いた。
顎を伝い、胸に、アナスタシアの翼に、地面に滴った。
「嘘でしょ!」
アレクサンドリアの叫びが夜を引き裂いた。
走り出した。
一歩ごとに血と灰が跳ねた。風魔法が不安定にちらつき、制御よりも怒りが勝っていた。両手剣を背後に振り上げたが、彼女とエヴァルトの距離が突然、永遠に感じられた。
アナスタシアが彼女を見据えた。
そしてエヴァルトに視線を落とした。
彼は呼吸しようとしていた。湿った、ごぼごぼという音が喉から漏れた。指が曲がり、翼につかまろうとしたが、掴めなかった。手に微かに魔力がちらついた。回復の最後の試み。だがアナスタシアは彼のもとに身をかがめた。
口から流れる血を飲んだ。
愉しげに。
ゆっくりと。
まるで上等な葡萄酒であるかのように。
エヴァルトの目が嫌悪と苦痛とむき出しの恐怖に見開かれた。
アレクサンドリアが再び叫んだが、声は自分の脈拍の轟音にかき消された。
アナスタシアが口を開けた。
歯が鋭すぎた。
エヴァルトの首に噛みついた。
彼が跳ね上がった。
叫びは途切れた。歯が深く肉に食い込んでいたから。アナスタシアが体から血を吸い出していた。肌を見れば分かった。顔から、唇から、手から色が失せていった。頬がこけた。目がガラスのようになった。さっきまで緊張していた身体が痩せ細り、枯れ、蒼白になっていった。
指が痙攣した。
そしてだらりと垂れ下がった。
アナスタシアが首から口を離した。
唇に血が光っていた。
微笑んだ。
そして翼を身体から引き抜き、地面に叩きつけた。
エヴァルトの身体が敷石に激突した。
アレクサンドリアはほぼ到達していた。
アナスタシアが足を上げた。
「やめろ!」とアレクサンドリアが叫んだ。
魔神が踏みつけた。
エヴァルトが破裂した。
短く、湿った、最終的な音だった。血と骨と肉が敷石に飛び散った。隠れていた人々の何人かが悲鳴を上げた。嘔吐する者もいた。屋根の上の翼ある悪魔が甲高い歓声を上げた。
アレクサンドリアは止まらなかった。
顔からすべての色が消えていたが、目は先ほどより激しく燃えていた。
アナスタシアが深く息を吸った。
「ああ」と彼女は言い、唇から血を舐めた。「実に美味い、お前たちの血は」
アレクサンドリアが斬りかかった。
刃がアナスタシアの首に向かって走った。
アナスタシアは恐ろしいほどの軽やかさで動いた。半歩退くと、刃は黒い髪の数本を切っただけだった。切られた髪は空中でまだ紫の塵に崩れた。
アレクサンドリアはすぐに剣を返し、追撃した。
下段からの一撃。
アナスタシアが翼を上げ、硬い縁で受け止め、アレクサンドリアを弾き返した。受け止めの力がアレクサンドリアを敷石の上に吹き飛ばした。体勢を立て直し、滑り、よろめき、片膝をついて止まった。
口から血が滴った。
エヴァルトの残骸に目をやった。
一瞬だけ。
そして視線を無理やりアナスタシアに戻した。
「殺してやる」
言葉は静かだった。
アナスタシアにはそれでも聞こえた。
「やってみろ」
欠損した手が動いた。
紫黒の魔力が開いた掌の上に集まった。緑の線が毒々しく、生々しく絡みついた。魔力が凝縮し、重く、暗くなり、形を得た。まず柄が現れた。長く、棘に覆われて。次に黒い金属の頭部。丸く、重厚で、紫の亀裂が走っていた。突起がそこから生え、それぞれの先端が異なる淡い光で輝いた。
戦槌がアナスタシアの手に顕現した。
普通の戦士には大きすぎたが、彼女の手の中では正しく見えた。道具のように。判決のように。
アレクサンドリアが身を起こした。
身体の反応が遅くなっていた。膝が震えた。呼吸がぜいぜいと鳴った。だが立った。
アナスタシアが戦槌を下ろした。
そしてアレクサンドリアに向かって突進した。
最初の一歩で広場が揺れた。
二歩目で敷石が割れた。
三歩目で紫のエネルギーの波が地面を走った。
アレクサンドリアが両手剣を振り上げ、攻撃を迎えた。
家の中でレアが泣いた。
小さく、細く、怒りに満ちた声。
エミリア・アルチアーナは揺りかごの傍らに立ち、一瞬手を止めた。天井から埃が落ちてきた。外で何か重いものが地面を揺るがしていた。そしてアレクサンドリアの叫びが続いた。壁と煙に遮られ、くぐもっていたが、聞き間違えようがなかった。
エミリアの顔が厳しくなった。
両方の包みに手を伸ばした。
レアが左側。泣きすぎて赤くなった顔。小さな手が布から飛び出していた。ラースが右側。より落ち着きなく、目を閉じ、口を震わせていた。エミリアはまずレアを、次にラースを揺りかごから持ち上げ、丁寧に、だがしっかりと抱きしめた。
「早く、ここから連れ出してあげるわ」と彼女は静かに言った。
声は震えなかった。
家が再び揺れた。外から魔法の轟音が入ってきた。鈍い衝撃音。そして木が裂ける音。隣の部屋の窓が弾けた。ガラスが床に散った。
エミリアは振り返らなかった。
「あなたたちが生き延びるために」
分娩室の扉に向かった。一歩一歩が確かだった。服にはまだ出産の痕がついていた。手は血と薬草の匂いがした。だが子供たちを抱く腕は穏やかだった。レアが胸に押しつけられ、ぐずった。ラースが小さな途切れた音を出した。一息よりもかすかな声。
エミリアが扉を押し開け、廊下に出た。
すでに煙が漂っていた。窒息するほどではないが、目が沁みるほどには。居間から揺らめく光が差し込んでいた。どこかで隙間から燃えさしが落ち、敷物を焦がしていた。エミリアは通りがかりに踏み消した。
「あのね」と彼女は歩きながら静かに言った。「あなたたちのお父さんとお母さんは、英雄なのよ」
足元の床が揺れた。
外で金属が何か巨大なものにぶつかった。そして叫び声が続いた。怒りと苦痛にゆがんで。アレクサンドリア。まだ生きている。
エミリアが唇を引き結んだ。
「二人はルミナーラを倒したの。光の魔王を」
レアは落ち着かなかったが、泣き声は小さくなった。まるでエミリアの声が壁のように彼女を包んでいるかのように。
「二十万年以上、誰にもできなかったことよ」
廊下の突き当たりの細い階段に着いた。地下室に続いていた。空気がより冷たく、湿っぽくなった。足の下で木が石に変わった。頭上で何かが激しく崩落し、灰色の雲のように天井から埃が降り注いだ。
エミリアが子供たちの上に身をかがめ、顔を庇った。
「だから七万五千年前から和平協定があったの」
声は静かなままだったが、言葉には重みがあった。新生児が理解する必要のない、だが感じ取れるほどの重みが。
「それなのに......」
文を終えなかった。
地下室は暗かった。壁に小さな油灯がひとつだけ灯り、黄色く弱い光を投げていた。壁際に棚が並び、乾燥した薬草、古い布地、土器、道具が詰まっていた。床は冷たい石。継ぎ目に湿気が溜まっていた。
エミリアは貯蔵品のところへは行かなかった。
奥の壁に向かった。
そこには数個の石が不規則に重なっていた。古い壁の一部のように見えた。エミリアは子供たちを離さないまま慎重にひざまずいた。二本の指で継ぎ目をたどり、特定の石を見つけ、押し込んだ。
最初は何も起こらなかった。
やがて壁の奥深くで軋む音がした。
古く重い機構が目覚めた。継ぎ目から埃が降った。地下室の壁の一部が内側に動いた。ゆっくりと。粗い擦過音とともに。エミリアが歯を食いしばるほどの。背後に闇が開いた。
隠し通路。
冷たい空気が流れ出た。土と古い石と深みの匂いがした。
上で再び何かが崩落した。
今度はより近くで。
エミリアが天井を見た。
それからレアとラースを見た。
二つの小さな包みが胸に密着していた。こんなに小さい。こんなに温かい。神と有限の者たちが燃える広場で互いを引き裂く夜に、こんなにも無力な。
エミリアが通路に足を踏み入れた。
前には闇だけがあった。
後ろには家と広場とアレクサンドリアとアナスタシアがあった。
一瞬、立ち止まった。
「本当に、二人とも生き残ってくれるといいけれど」と彼女は静かに言った。
そして子供たちをより固く抱きしめ、暗い通路の中に消えた。




