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第13章 - やっぱりチートスキルだった

世界が遅くなった。


一度にではない。


最初はただの奇妙な空気の引きつりだった。二つの呼吸の間の短い躊躇。ラースの黒蒼の炎球の熱が中庭に重くのしかかっていたが、突然、炎が自由には動かなくなった。暗い縁がわずかにしか波打たなくなった。まるで蜂蜜の中を燃えなければならないかのように。蒼い核がゆっくりと、あまりにもゆっくりと脈打ち、一つ一つのちらつきが永遠に引き延ばされた。


レアが瞬きした。


炎球から火花がひとつ離れた。


落ちなかった。


ほとんど動かずに空中に留まっていた。


溶けた土壁はまだ滴っていたが、一滴一滴が離れるのに永遠を要した。エミリアが二人の前に緊張して立っていた。手を半ば上げ、目をフレアグニスに向けて。アレクサンドリアが身を起こしかけていた。口がわずかに開いていた。低く唸った後にもう一言、辛辣な台詞を続けようとしていたかのように。フレアグニスの視線がラースに向いていたが、彼の動きも捕らえられていた。ほとんど静止した世界に凍りついて。


ほとんど。


完全にではない。


レアはもうその違いが分かっていた。


ティンケが来ると、世界は本当には止まらない。あまりにも遅くなるだけで、あらゆる有限のものが固まったように見える。ティンケ自身がそう言った。あの耐えがたいほど楽しげな微笑みで。まるで現実への巨大な介入ではなく、布を使った小さな手品であるかのように。


レアが剣をより固く握った。


握りすぎて指が痛んでいた。足元で土がきしんだ。ラースが隣に立っていた。黒蒼の炎球がまだ左手の上にあった。顔は蒼白で、目が見開かれていた。


「ティンケ」とレアは苛立って言った。「呼んでないんだけど!」


声が減速した世界の中であまりにも鮮明に響いた。


あまりにも大きく。


中庭は答えなかった。


代わりに、見知らぬ声が空気を打った。


「あの役立たずと一緒にしないで!」


その一言が部屋を殴打するように空間を貫いた。


ラースが即座に膝をついた。


ゆっくりではない。考えてでもない。頭が何が起きたか理解する前に身体が反応した。手の上の炎球が危うくちらついたが、縮みはしなかった。黒と蒼のまま頭上に浮かび続けた。まるで炎自身がこの声の前で間違った動きをすることを恐れているかのように。


ラースが深く頭を下げた。


「はい、女神さま!」


レアが彼を凝視した。


「何やってるの」


答えなかった。


肩が震えていた。


フレアグニスの前とは違っていた。エミリアが次の授業で脅すときとも違っていた。これは別物だった。ただの恐怖ではなかった。肉の奥深く、マナの奥深く、あらゆる判断より古い何かの中にある、本能的な認識だった。


レアにも感じていた。


当然感じていた。


存在感が中庭の上に降りてきた。フレアグニスのように熱くはない。ティンケのように遊び心があってねじれてもいない。この気配は赤く、重く、最終的だった。火の匂いではなかった。火を連想はさせたが。砕けた石と、世界が燃え尽きた後の冷たい灰と、もう救えなくなった瞬間の匂いだった。


そして姿が現れた。


突然そこにいたのではなかった。


レアの前の空気が畳まれた。空間そのものが道を空けるかのように。赤い光が減速した世界を切った。鋭く明瞭に燃え、その光から女が踏み出した。


大きく。


戦士のように。


神聖に。


長い赤い髪が肩にかかっていた。星の光の下の血のように重く輝いて。一部が太い三つ編みに編まれ胸の上に横たわり、何本かの筋が顔の周りでなびいていた。世界がほとんど止まっているのに。頭上に赤い光輪が燃えていた。鋭く完璧に。穏やかではなく。殲滅を前にした警告のように。


翼が背後に広がっていた。巨大に、赤く。先端に暗い影があり、羽の間に炎の脈が走っていた。一枚一枚が空を切り裂くに足るほど鋭く見えた。鎧は銀色で、重く精巧で、燻る核のように輝く赤い宝石がちりばめられていた。黒い手袋が手を覆い、腕と肩と腰に金属の装甲が重なっていた。まるで謁見の間のためではなく、永遠の戦争のために生まれたかのように。


顔は美しかった。


そして完全に容赦がなかった。


レアが顎を上げた。


「誰?」


ラースは膝をついたまま。顔を上げる勇気がほとんどなかった。だがちらりとだけ視線がこぼれた。目が姿を捉え、すぐにまた頭を下げた。さっきより深く。呼吸が速い。手の上の黒蒼の炎球が震えていた。


震えていた。


恐怖だけではなく。


レアにはラースの顔に、緊張した指に、全身でこの気配に抗いながら同時に屈服している姿に、それが見えた。ラースはこの女神から発する純粋な破壊の力を感じ取っていた。脅威としてではない。事実として。


女が片眉を上げた。


「奇妙だな」と彼女は言った。


声は硬く、明瞭で、忍耐がなかった。


「普通、有限の者はこの虫けらのように全員こう反応するものだが」


ラースを見下ろした。


レアが横に一歩動いた。前にではないが、ラースと女神の間に立つように。


女神がそれに気づいた。


視線がレアに移った。


「私はシーデ」と彼女は言った。「破壊の女神だ」


その名が中庭に重くのしかかった。


シーデ。


レアはティンケの話を思い出した。五柱の女神の一人。破壊の女神。宇宙の彼方で、自らの本質に逆らって破壊を食い止めようとしている者。


今、彼女がここにいた。


ティンケの描写ではまったく足りなかった。


シーデが腕を組んだ。


「お前たちが、私の依頼を果たすはずの二人の事故か。少なくともあの出来損ないの運命の女神はそう言っている」


レアの目が細くなった。


「事故?」


ラースがその言葉にびくついたが、何も言わなかった。


シーデがレアを見た。反論が煩わしくもあり面白くもあるかのように。


「そうだ。事故だ」


「面白い肩書きね、破壊者さん」とレアは言い、剣を地面に突き刺した。「私たちに何の用?」


ラースがほんのわずかだけ顔を上げた。レアを恐怖の目で見つめるだけのために。


シーデの眉間にしわが寄った。


「言っておくが」と彼女はゆっくり言った。「有限の者にしては、お前は並外れて生意気だな」


レアが肩をすくめた。


「よく言われる」


シーデが彼女を見据えた。


そしてにやりと笑った。


温かくはない。


優しくもない。


だが初めて、その顔が裁きではなく、何か興味深いものを見つけた刃のように見えた。


「手短に済ませる」


一歩近づいた。


世界がほぼ止まっているのに、足元の地面がきしんだ。彼女が重いからではない。現実が彼女の存在に耐えかねているから。


「私の妹がお前たちの母の代わりに宇宙的な事故でお前たちを連れてきた。少なくともそう主張している」


レアが黙った。


ラースの指が地面の上で震えた。


シーデの視線がより鋭くなった。


「本当は運命に介入したくせに認めようとしないのだ」


レアは胸の中で何かが締まるのを感じた。


ティンケは笑っていた。はぐらかしていた。説明しながら何も説明しなかった。何度も運命について語り、糸について、可能性について。だがどれだけが意図的だったのか、本当には認めなかった。


「だから私が来た」とシーデは言った。「お前たちのどちらかに、私の力の一部を与える」


レアの剣を握る手がきつくなった。


ラースがわずかに顔を上げた。


シーデが二人の間で視線を行き来させた。


「もう一人には......」


彼女は止まった。


「さて、何を」


「私の力を与えよう」


新しい声が空間に響いた。


シーデのように硬くはない。


ティンケのように遊び心もない。


穏やかで、明瞭で、ほとんど礼儀正しかった。


シーデの横に金色の光と羊皮紙の塵と細かい文字の渦が開いた。文字が空中で回り、整列し、再び溶け、円になった。その円から二人目の姿が踏み出した。


レアが凝視した。


ラースでさえゆっくり視線を上げた。


新しい女神はシーデとはまったく異なっていた。


長い茶色い髪が柔らかく肩にかかっていた。一部は開いたまま、一部はきちんとまとめられていた。まるで宇宙的な渦にさえ、彼女を乱れた姿で現す権利がなかったかのように。鼻に眼鏡をかけていた。レンズの向こうに穏やかで注意深い目があった。頭上に金色の光輪が浮かんでいた。温かく正確に。王冠というより書斎の灯りのように。


翼は大きく、茶色と金色で、先端が明るく、下層がより暗かった。柔らかくはないが、品格があった。知識を集め、時代を見渡せる存在の翼。衣装は上品で、暗く金色がかり、白いアクセントと、文字の行を思わせる繊細な装飾が施されていた。片手に開いた本を持っていた。もう片方の脇に巻物が挟まれていた。まるで図書館の真っただ中から来て、減速した世界にほんの少しだけ立ち寄ったかのように。


軽く一礼した。


「こんにちは」


レアが瞬きした。


ラースの視線が彼女からシーデに戻った。


すぐにまた頭を下げた。


新しい女神が片眉を上げた。


「興味深い」


そして眼鏡を直した。


「私はミネルティス、知恵の女神。お前たちのどちらかに、私の知識の一部を分け与えたい」


レアがシーデとミネルティスの間で視線を行き来させた。


それから周囲の減速した世界へ。


フレアグニスがほぼ動かない。エミリアがまだ手を上げたまま凍っている。アレクサンドリアが女神たちの方角に首を向けていた。見えないかもしれないが、何かは感じているかのように。ラースの手の上の黒蒼の炎球がゆっくりと燃え続けている。


シーデが地面を踏みつけた。


衝撃が減速した大地を波のように走った。


ラースが即座に震えた。


レアがため息をついた。


「女神が......今度は三人」


片手で顔を擦った。


「呪われてる。絶対呪われてるわ」


ミネルティスが穏やかな好奇心で彼女を見た。


「劇的だが、まったく理解できない評価ではないな」


シーデはレアだけを見ていた。


「お前」


レアが手を下ろした。


「何?」


シーデが彼女を指した。


「お前は戦士だ。私の力を受け取れ」


レアが目を見開いた。


「ちょっと、私は一度も......」


シーデが指を鳴らした。


何かがレアの中に叩き込まれた。


外からの打撃ではなく。


内側からの命令として。


筋肉が緊張した。指が剣の柄にけいれんするように食い込んだ。一瞬、自分の血の中で石が砕ける音が聞こえた。熱ではなかった。冷たさでもなかった。圧力だった。生の破壊力。あまりにも濃密で、形を必要としなかった。骨を這い、腕に、脚に、目の奥に入り込んだ。


レアが歯を食いしばった。


倒れなかった。


シーデのにやりとした笑みが広がった。


「無敵になったとは思うなよ」と彼女は言った。「私の力の使い方は自分で学べ」


「ちょっと!」とレアが叫んだ。


だがシーデはすでに消えていた。


別れの言葉もなく。


光もなく。


赤い残響だけがしばし地面の上に漂い、やがて消えた。


ラースが深く息を吐いた。


そしてひざまずいた姿勢からゆっくり横に崩れ、地面に座り込んだ。脚が安定を忘れたかのように。


「はぁ......」


顔を拭った。


「シーデ......ヤバかった」


レアが彼を凝視した。


ミネルティスも彼を凝視した。


ラースが固まった。


「いや、あの......めちゃくちゃ怖かったって意味で」


レアが口を開けた。


閉じた。


「あんた、信じらんない」


ミネルティスがゆっくりと片眉を上げた。


「典型的な男ね」と彼女は呆れて言った。「強い女を見ると惹かれるんだから」


ラースが赤くなった。


「そういうことじゃ......」


「で、私はどうなの?」


ラースが彼女を見た。


それからレアを。


それからまたミネルティスを。


「あなたも......その......とても......神々しい?」


レアが目を閉じた。


「ラース」


ミネルティスがため息をついた。


「もういいわ」


ラースのそばに歩み寄った。


シーデと違い、その気配は彼を押し潰さなかった。危険でないわけではなかったが、より明瞭だった。整然としていた。思考と数式と記憶と可能性の果てしない棚のように。ラースはそれを頭に感じた。膝ではなく。目の奥に。なぜか分かる前に物事を理解する、あの場所に。


ミネルティスが手を上げ、二本の指で彼の額に触れた。


「さあ。私の力を受け取り、慣れなさい」


ラースが息を呑んだ。


一瞬、多くを見すぎた。


映像ではない。声でもない。


繋がりを。


構造としての魔法。動きとしてのマナ。熱としてだけでない変換としての火。石としてだけでない惑星の記憶としての土。可塑性としての水。方向としての風。秩序としての光。意味と意味の間の空間としての闇。パターンの復帰としての回復。ルールのある嘘としての幻術。もっとあれという身体への命令としての強化。


そして消えた。


完全にではない。


余韻として残った。


閉じた本。だがそのタイトルは今や知っている。


ミネルティスが手を引いた。


「それから二人とも、ティンケの力を使いこなす訓練もしなさい」


レアが目を開けた。


「それもまだあるの?」


「当然」


ミネルティスが眼鏡を直した。


「運命感知を授かって、無視するのは非効率的だ」


「私たち、十二歳なんだけど」とレアは言った。


「非効率の言い訳にはならない」


ラースがまだ蒼白のまま彼女を見た。


「具体的に何を持ってるの、僕たちは?」


ミネルティスが微笑んだ。


今度はほとんど遊び心があった。


「ああ、そうそう。これはいわゆるチート能力に該当するわね」


レアが凝視した。


ラースも。


ミネルティスが小さく一礼した。


「異世界人の世界へようこそ」


そして彼女も消えた。


金色の渦が彼女を包んだ。羊皮紙の塵と光と小さな文字が溶け、何も残らなくなるまで。


世界はもう一呼吸だけ遅いままだった。


そしてすべてが戻った。


熱が中庭に押し寄せた。


ラースの手の上の黒蒼の炎球がちらつき、一瞬にして収縮し、鈍い音とともに消えた。エミリアが再び動いた。フレアグニスが瞬きした。アレクサンドリアが首を完全にこちらに向けた。


ラースはミネルティスが消えた場所を見つめていた。


それからレアを見た。


「何?」


声が細かった。


「どういうこと?」


レアはじっと立っていた。


身体がおかしかった。病気ではない。怪我でもない。ただ、いっぱいすぎた。行き場を知らない力が突然中にいるかのように。剣がまだ地面に刺さり、手の下の柄が温かかった。


肩をすくめた。


「さっぱり分かんない」


そして唸った。


「でもそろそろ本気でむかつく」


剣をより固く掴み、地面から引き抜いた。


地面が裂けた。


中庭全体を飲み込むほどではなかった。


だが十分に突然で、全員が固まった。


刃が刺さっていた場所から亀裂が走った。レアの足元で広がり、黒い血管のように土を引き裂き、彼女とラースの周りを円状に走った。草が裂けた。小石が地面から跳ねた。鈍い割れる音が中庭を貫いた。


レアが地面を見つめた。


ラースがレアを見つめた。


フレアグニスのオレンジがかった金色の目が興味深げに輝いた。


エミリアが手を振り上げた。


アレクサンドリアは完全に静止していた。


「あちゃー......」とラースがつぶやいた。


そしてアレクサンドリアが叫んだ。


「一体全体何が起きてるのよ!」

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