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第10章 - 女神の嘘

ティンケ! あんたの運命の糸はクソよ! 嘘をつかれた!


レアの思考は祈りではなかった。


怒りの叫びだった。あまりにも激しくて、唇は閉じたままなのに自分自身がびくりとするほど。指が剣の柄を握りしめていた。エミリアがたった一つの術で地面から引き裂いた土壁の裏側では、湿った土と踏み荒らされた草と、フレアグニスから発する熱の匂いがした。


フレアグニス。


その名がまだ頭の中で焼けていた。


火の魔王。


三年も早い。


目の前の土壁は粗く凹凸があった。小石が埋まり、根が細い血管のように凝縮された土から垂れ下がっていた。狭い隙間から中庭の一部が見えた。アレクサンドリアの両手剣が地面に突き刺さっていた。母がその前に立っていた。緊張し、盲目で、片腕で、それでも魔王に飛びかかる態勢で。エミリアが壁の前に立っていた。両手をわずかに上げ、マナの気配が岩のように重く濃密に。


ラースがレアの横に立っていた。


蒼白だった。


「レア」と彼がささやいた。「どうする?」


答えなかった。


視線がアレクサンドリアの前の暗い輪郭に張りついていた。小さい。煙がかった。熱い。異質。頭の中の魔王の姿とは違っていた。だからこそ余計にひどかった。


そのとき声が聞こえた。


「あら?」


レアが固まった。


世界が粘り気を帯びた。


静止したのではない。本当には。風はまだ動いていた。だがあまりにもゆっくりで、頭上の一枚の葉が見えない糸に結ばれたかのように空中に留まっていた。塵が土壁の前で浮かんでいた。フレアグニスの方角から来た火花が、輝く点として空間に静止していた。アレクサンドリアが首を半分回したまま、動きの途中で捕らえられていた。エミリアの衣が風に膨らんだ一か所で、布がほとんど動かなくなっていた。


ラースが目を見開いた。


「何が......」


「本当に?」とティンケが訊いた。


二人の目の前に現れた。


黒と白と星の光のきらめきが、子供たちと土壁の間で凝縮した。最初は羽だけ。次に半透明のドレス。そして例のあまりにも楽しげな微笑みを浮かべた顔。頭上に明るい輪が浮かんでいた。身体が完全には固体に見えないのに、鮮明で明瞭だった。黒と白の翼が半ば開き、縁が粘っこい空気とにじんでいた。


ティンケが首をかしげた。


「ちょっと見せて」


レアが彼女を凝視した。


「あんた!」


「ええ、私」とティンケは満足げに言った。


ラースがゆっくり振り返り、眉をひそめた。視線がティンケから、ほぼ静止した中庭へ、そしてまたティンケへと飛んだ。


「いつもこうなの?」と彼は訊いた。「あなたが来ると世界が止まるの?」


ティンケが手を振った。


「世界は回り続けてるわよ」


子供に非常に簡単なことを説明するかのように、指を一本立てた。


「時間を止められる者なんていない。そんなの馬鹿げてるわ」


レアが空中にまだ動かずに浮かぶ火花を見た。


ティンケがその視線を追い、にやりと笑った。


「ただ......そうね、とても、とても、とてもゆっくり流れてるだけ」


ラースが瞬きした。


「ほとんど同じでしょ」


「"ほとんど"ってとても便利な言葉よね」とティンケは笑いながら言った。


そして片手を虚空に差し入れた。


空気は裂けなかった。裂け目もなく、門もなく、劇的な輝きもなかった。指がそれまで空だった場所に消えた。まるで現実がそこに表面を作り忘れていたかのように。ティンケがそれを引いた。


運命の糸の塊が現れた。


レアが息を止めた。


糸は無数の色できらめいていた。髪のように細いものもあれば、綱のように太いものもあった。明るく穏やかに輝くもの。震え、絡み合い、ほどけ、ほとんど切れかけてなお持ちこたえるもの。赤い糸が熾火のように燃えていた。金の糸が鋭く絡まりを切り裂いていた。黒い糸が自らの影の中に繰り返し消えていた。あまりにも淡く、直接見なければ見えないものもいくつかあった。


ティンケが両手で塊を持ち、口を歪めた。


「さて」と彼女はつぶやいた。「どこかしら。火、火、小さな大災害、自信過剰すぎ、あ、ここ」


塊の中を熱く這う赤い糸を掴んだ。触られるのが嫌だとでもいうように、糸がびくりとした。


「これはどういうこと?」とレアが訊いた。


声は意図したより鋭かった。


ティンケが糸を見た。


そして笑い出した。


短くではない。


照れてでもない。


宇宙の創造以来で最高の冗談を聞かされたかのように笑った。翼が震えた。頭上の光輪が一度ちらついた。まるで光輪自身がこの笑いを恥ずかしいと思っているかのように。


レアの頬が熱くなった。


「何がそんなに面白いの?」


ティンケが架空の涙を目の端から拭った。


「全部正しいわよ」


赤い糸を持ち上げた。


「運命は正しい道を歩んでいる」


ラースが彼女とレアの間で目を行き来させた。


「あいつが外にいるんだけど」


「ええ」


「今」


「それもそう」


「で、間違いじゃないの?」


「違うわ」


ティンケがレアに糸を差し出した。


レアがためらった。


そして受け取った。


糸は糸のようには感じなかった。温かかった。ほとんど熱かった。だが火傷はしなかった。指が触れた瞬間、内なる目の前に映像がちらついた。


炎。


自分たちの中庭ではない。


自分たちの家でもない。


別のもの。


城壁の上の煙。遠くの叫び声。赤く輝く空。フレアグニスの輪郭。だが自分たちに向けられてはいなかった。ラースにも。エミリアにも。アレクサンドリアにも。


そして映像は消えた。


レアが小さく息を漏らした。


ティンケが身をかがめた。


「彼が攻めてくるのは三年後」と彼女は言った。「でもあなたたちにじゃない」


レアが彼女を見つめた。


ティンケが二本の指で額を突いた。触れ方は冷たく軽く、ほとんど存在しなかった。


「もっとよく見なきゃダメよ」


ラースが口を開けた。


「じゃあ誰を攻めるの?」


ティンケが微笑んだ。


「じゃあね!」


「待って!」とレアが叫んだ。


遅かった。


ティンケが消えた。


笑い声だけがもう少し残っていた。明るく、いたずらっぽく、減速した空気に絡めとられたかのように。やがてそれも消えた。


世界が再び動き出した。


火花が飛んだ。葉が落ちた。塵が舞った。エミリアの衣が風にはためいた。アレクサンドリアが息を吐いた。フレアグニスの熱が中庭に押し寄せ、土壁が緊張の下できしんだ。


レアとラースはまだエミリアの後ろに立っていた。


顔を見合わせた。


ラースは安堵すべきなのかさらに困惑すべきなのか分からない顔をしていた。


レアが唇を引き結んだ。


「あの女神、マジでむかつく」


ラースが彼女を見つめた。


そしてにやりと笑った。


「母さんみたいなこと言ってる」


レアが瞬きした。


「言ってない」


「言ってる」


「言ってない」


ラースのにやりとした笑みがさらに広がった。


レアが彼を見た。


そして一瞬固まり、顔をしかめた。


「母さんとおばあちゃん両方みたいになってる......」


ラースが口に手を当てたが、にやりとした笑みは隠れなかった。


土壁の向こうでエミリアが声を上げた。


「さて」と彼女は硬く言った。「何の用だ」


目の前の熱が動いた。


どこにも十分に強い火がないのに、煙が中庭を漂った。地面を這い、小さな指の間で踊る炎に赤く照らされていた。そしてフレアグニスがようやく煙の中から姿を現した。


レアは魔王が大きいものだと思っていた。


がっしりと。


巨大に。


空を遮る姿。


フレアグニスは小さかった。


子供ほどしかなかった。もしかするとラースよりも少し小さいかもしれなかった。だが中庭のどの呼吸も、そのせいで無害と呼ぶ勇気はなかった。肌は暗い赤に輝いていた。まるでその下に溶けた炭が眠っているかのように。乱れた赤い髪が額にかかっていた。荒々しく、炎のように。今にも火がつきそうだった。頭からは二本の黒く湾曲した角が生えていた。力強く、つやがあり、小さな身体にはあまりにも重そうに見えた。


目はオレンジがかった金色に燃えていた。


普通の光のようではなかった。


世界のすべての柔らかいものを喰い尽くすまで燃え続けた火の中心のように輝いていた。視線には子供のような好奇心があったが、その下には古いものがあった。危険なもの。力を持つことを学んだのではなく、力とともに生まれた何か。


小さな黒い翼が背後に広がっていた。縁が赤く染まり、小さな火花に囲まれていた。脅威的に見えるほど大きくはなかったが、それでもレアの全身の筋肉が、それを見た瞬間に緊張した。衣装は暗く、赤い宝石と金の鎖で飾られていた。肩と胸と腕に、小さな鎧のように突起と金属片が重なっていた。周囲で火の粉が空中を舞っていた。


手の中に炎があった。


おもちゃのように気楽に持っていた。


中庭が突然、熱い金属と焦げた石の匂いに満たされた。


フレアグニスが周囲を見回した。


視線がエミリアを、土壁を、アレクサンドリアを巡り、地面に突き刺さった両手剣でしばし止まった。そしてただ地面に座った。


レアが瞬きした。


ラースも。


アレクサンドリアの表情は変わらなかったが、剣の柄を握る力がより強くなった。


フレアグニスが足を組み、片手を背後の地面に突いた。もう片方の手の炎は穏やかに、従順に燃え続けていた。


「さて」と彼は言った。「話がしたくて来た」


誰もすぐには答えなかった。


森で鳥が一声鳴き、中庭に誰が座っているか気づくのが遅すぎたかのように、ぴたりと黙った。


フレアグニスがわずかに微笑んだ。


「気になっていることがあってね」


アレクサンドリアは両手剣の後ろに立ち、下を向いていた。盲目の目は何も見えなかったが。身体は張りつめた弦のように緊張していた。血は見えなかったが、古い傷跡が首と顔を走っていた。空の袖がフレアグニスの存在が中庭に流す温かい風に揺れていた。


フレアグニスが炎で彼女の武器を指した。


「それ、タリウムの木から鍛えたものだろう?」


アレクサンドリアが黙った。


フレアグニスが首をかしげた。


「どうやって木を金属にしたんだ?」


嘲りの調子はなかった。


本当になかった。


むしろ困惑していた。ほとんど魅了されていた。分解したい謎を見つけたばかりの者のように。


アレクサンドリアが口をゆがめた。


「お前に関係ないでしょ」


フレアグニスが笑い出した。


明るく、意外なほど少年のような笑い声だった。だがそれが中庭に転がると、近くの草の先端が一瞬黒く焦げた。足元の根から煙が立ち上った。


「これが有名な有限の者たちの礼儀か」


「私の有名な刃も見せてあげようか」とアレクサンドリアが唸った。


フレアグニスが彼女を見上げた。


微笑みがより広がった。


「それはまた今度にしよう」


エミリアが土壁の後ろから出た。


レアが袖を掴もうとしたが、エミリアはすでに一歩先にいた。手は体の横にゆるく垂らしていたが、マナが第二の皮膚のように彼女を包んでいた。足元の地面がより固くなったように見えた。彼女の命令で硬化したかのように。


「魔王を悩ませることなんてあるのか」とエミリアは訊いた。


フレアグニスがそちらを見た。


手の中の炎が縮み、掌の上に浮かぶ小さな光る核だけになった。


「なぜ姉が不可侵条約を破ったのか」


言葉は穏やかに落ちた。


だからこそ、おかしく聞こえた。


エミリアが足を止めた。


アレクサンドリアが眉をひそめた。


フレアグニスが続けた。「そもそもあの条約を望んだのは姉のほうだったのに」


アレクサンドリアが一瞬黙った。


それから両手剣を地面から引き抜き、どすんと胡坐をかき、武器を横に再び突き刺した。その動きがあまりにも唐突で不敬だったので、壁の裏のラースが口を開けた。


レアが肘を脇腹に入れた。


アレクサンドリアが顎でフレアグニスを示した。


「あいつが条約を望んだ?」


「ああ」


フレアグニスが炎を指でなぞった。炎が分かれ、再び閉じ、小さくなった。


「姉のアイデアだった。母上は反対した。きょうだいのうち三人も」


肩をすくめた。


「それでも数千年後には受け入れた」


エミリアが長い間彼を見つめた。


中庭が静まった。


その言葉は、二人が知っていることと合わなかった。あるいは知っていると信じていたことと。ルミナーラ、光の魔王が不可侵条約を望んだ。ルミナーラ、その死がアナスタシアを呼び寄せた。ルミナーラ、その攻撃が条約を破った。


アレクサンドリアが顔をしかめた。


「初耳だわ」


エミリアがフレアグニスとアレクサンドリアの間に立った。直接の盾としてではないが、両方を視界に収められるように。


「正直に言えば、あの突然の攻撃については私たち自身も何も分かっていない」


フレアグニスが二人を見た。


目がちらついた。


「興味深い」


「興味深くなんかない」とアレクサンドリアが言った。「苛立つだけよ」


「お前にとってはな」


「まともな頭を持つ者にとっては誰でもよ」


フレアグニスが静かに笑った。


土壁の端からラースがそっと覗いた。


レアが慎重に続いた。


フレアグニスは本当にただ地面に座っていた。小さく、赤く、角と翼があり、手の中の炎はまるでおもちゃで遊ぶ子供のようだった。だが周囲の空気は揺らめいていた。近くで吸う一息ごとがより熱かった。すぐ下の地面は乾いていた。朝にはまだ湿っていたのに。


ラースがささやいた。「あれがフレアグニス? すごい小さい」


フレアグニスは首を向けなかった。


「坊主、見なくても聞こえるぞ」


ラースが即座に壁の裏に引っ込んだ。


レアが口に手を当てたが、笑いが小さな吹き出しとして漏れた。


ラースが睨みつけた。


「笑えないんだけど」と彼がささやいた。


レアが急いでうなずきながら、それでも笑い続けた。


フレアグニスが今度は土壁のほうを見た。


「あの二人が子供たちか」


レアがすぐに笑いを止めた。


エミリアが手を上げた。


「やめなさい」


フレアグニスが両手を上げた。片方にはまだ小さな炎。


「話してるだけだ」


アレクサンドリアが鼻を鳴らした。


「魔王がただ話すだけなんてことはない」


「有限の者はちゃんと聞くこともないがな」とフレアグニスが返した。


彼の周りの熱がちらついたが、座ったままだった。


再びエミリアを見た。


「お前たちの愛するヴァラーシアではもっと知っているものだと思っていたが」


エミリアの目が細くなった。


「世界の首都だからといって、そこにすべての知識があるわけではない」


フレアグニスがしばし彼女を眺めた。


「すべてを知らない世界の首都か」


微笑んだ。


「有限の者の思い上がりらしいな」


「招かれもせず人の中庭に座っている魔王が言うことかしら」


「攻撃はしていない」


「まだね」


「攻撃するつもりなら、別の始め方をしている」


アレクサンドリアが荒く笑った。


「地面に座ってる奴にしては大きく出るわね」


フレアグニスが彼女を見た。


「座っているのは話がしたいからだ」


アレクサンドリアが眉をひそめ、見えないのに上を向いた。顔は緊張していたが、今度は怒りだけではなかった。失望もあった。ほとんど侮辱された気分が。


「つまり戦いたくないの?」


フレアグニスがゆっくり瞬きした。


「ああ」


アレクサンドリアが鼻を鳴らした。


そして広く、危険ににやりと笑った。


「残念ね。死ぬ前にもう一人魔王を倒せるかと思ったのに」

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