↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『潰れかけ喫茶店ごと異世界転移したので、黒猫と静かに営業していたら最強の休憩所になっていました』  作者: CASCADE


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
98/172

第九十八話 雨上がりの来店と温かな湯気




夕立が去ったあとの街はすっかり涼しくなり、

心地よい夜風が黒猫亭の扉を優しく揺らしていた。


カランコロンとドアベルが鳴り、

「こんばんは〜、サクヤさん」と柔らかな声が入ってくる。


姿を見せたのは、市場の果物屋のおばちゃんだった。

仕事終わりなのか、籠を腕に提げて穏やかな笑顔を浮かべている。


「いらっしゃいませ! おばちゃん、こんばんは」



◆



「夕立で一気に涼しくなったからねぇ、

仕舞い仕事の帰りに寄らせてもらったよ。

サマーベルとハニードロップのジェラート、

市場でもすっごく評判になってるよ!」


「本当ですか! おばちゃんが良い果物を教えてくれたおかげです」


「ふふ、あんなに美味しく仕立ててくれたら果物たちも本望さね」


嬉しそうに笑うおばちゃんに、朔夜は

「雨上がりで少し肌寒くなりましたし、温かいお茶をどうぞ」と、

香ばしく淹れたてのほうじ茶と、

小さな焼き菓子をそっと差し出した。



◆



「ああ、いい香り……雨上がりの冷えた身体に染み渡るわぁ」


ふうふうと湯気を吹きながらお茶をすするおばちゃんの足元に、

クロノがトコトコと歩み寄っていった。


「あら、クロノちゃん! 市場に来てくれた時も可愛かったけど、

お店で見るクロノちゃんも立派な看板猫だねぇ」


おばちゃんの手で顎の下を撫でられ、

クロノは目を細めて嬉しそうにゴロゴロと喉を鳴らした。



◆



「果物の次は、秋の実りもどんどん美味しくなるからね。

また良いのが入ったら教えるよ」


「ありがとうございます。楽しみにしていますね」


温かいお茶と、心通う穏やかな会話。

厳しい暑さを越え、雨がもたらしてくれた優しい涼しさの中で、

黒猫亭の夜はあたたかな灯りに包まれて更けていくのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。