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『潰れかけ喫茶店ごと異世界転移したので、黒猫と静かに営業していたら最強の休憩所になっていました』  作者: CASCADE


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第九十六話 夏の終わりと夕立の気配




クロノが心地よさそうに眠る中、

窓の外の光が少しずつ陰りを帯びてきた。


カラリと晴れ渡っていた青空の奥から、

もくもくと厚みのある灰色の雲が湧き上がり、

生ぬるい風がすうっと店内を通り抜ける。


「ん……? 雲行きが怪しくなってきたな」


朔夜が窓の外を見上げると、

遠くの空でゴロゴロと微かに雷鳴が轟いた。





「みゃ……?」


低い雷の音に反応して、クロノがぴくりと耳を動かし、

金色の瞳を丸くして顔を上げた。

まだ眠気が残っているのか、ふわぁと大きなあくびをひとつ。


「起こしちゃったか。夕立が来るみたいだな」


朔夜は窓に歩み寄り、吹き込む風で雨が入らないよう

隙間を残して静かに閉めた。





ぽつ、ぽつ、と大粒の雨が乾いた石畳を濡らし始めると、

あっという間にザザーッと勢いよく降り注ぐ夕立になった。


激しい雨音とともに、それまでの熱気を一気に洗い流すように、

ひんやりとした涼しい空気が窓辺を満たしていく。


クロノはカウンターからひょいと窓枠に飛び乗り、

ガラス越しに勢いよく流れ落ちる雨粒を

興味深そうに前足で追いかけるように見つめていた。





「すごい雨だな。でも、これで一気に涼しくなりそうだ」


熱い大地を冷ます恵みの雨。

雨音だけが心地よく響く店内で、朔夜はクロノの隣に並び、

一緒に外の雨景色を眺めた。


厳しい夏を乗り越え、少しずつ移ろいゆく季節の匂いが、

濡れた風に乗って静かに届いてくるのだった。

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