表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『潰れかけ喫茶店ごと異世界転移したので、黒猫と静かに営業していたら最強の休憩所になっていました』  作者: CASCADE


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
9/39

第九話 久しぶりの安心

男は夢中でスープを飲んでいた。

   最初は警戒していたはずなのに、今では完全に無言だ。

   空腹だったのもあるだろう。

   けれど、それだけではない気がした。

   男の表情から、少しずつ険しさが消えていく。

   まるで張り詰めていた糸が、ゆっくり緩んでいくみたいに。


  「……不思議な味だな」

   空になりかけた皿を見ながら、男がぽつりと呟く。


  「優しいっていうか……妙に安心する」

   朔夜は少し困ったように笑った。

  「特別なことはしてないんですけどね」

  「いや、そんなことねぇよ」

   男は小さく首を振る。

  「ここに入った瞬間から、身体が軽い」

   その言葉に、朔夜は視線を落とした。

   神の言っていた力。

   本当に効いているらしい。

   男は椅子へ深く座り直し、長く息を吐く。

  「……助かった」

   その声は、疲れ切った旅人の本音だった。

  「正直、今日は野宿覚悟だったんだ」

  「街の宿、どこも満室でな」

  「しかも外は魔物が出る」

   さらっと怖い単語が出てきた。

  「魔物って普通にいるんだ……」

  「ん?」

  「あ、いや」

   危うく“異世界初心者”を晒すところだった。

   朔夜は誤魔化すように咳払いする。

   一方、男はそこまで気にした様子もない。

   それほど疲れているのだろう。


  「……ここ、宿じゃないんだよな?」

  「喫茶店です」

  「だよな……」

   男は苦笑する。

   その時だった。

   カウンターの上にいたクロノが、ひょいと男の膝へ飛び乗った。

  「お、おぉ?」

   男が目を丸くする。

   クロノは気にした様子もなく、その場で丸くなった。

   完全にくつろいでいる。


  「……珍しいな」

   朔夜も少し驚いていた。

   クロノは基本的に他人へ塩対応だ。

   自分から近付くことは少ない。

  「はは……気に入られたのか、俺」

   男は少しだけ嬉しそうに笑う。

   その笑顔を見て。

   朔夜も、なんとなく安心した。

感想、コメントお待ちしております(*..)”

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ