表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『潰れかけ喫茶店ごと異世界転移したので、黒猫と静かに営業していたら最強の休憩所になっていました』  作者: CASCADE


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
88/98

第八十八話 涼を運ぶ朝の仕込み




翌朝、朝露が消えきる前から、

街には早くもじわりとした熱気が漂い始めていた。


厨房に立った朔夜は、昨晩のうちに下準備しておいた

『サマーベル』と『ハニードロップ』を調理台に並べる。


「よし、今日も暑くなりそうだからな。

しっかり仕込んでおかないと」


隣の椅子に座ったクロノが、金色の瞳を輝かせながら

「にゃん」とやる気満々の声を上げた。





サマーベルの鮮やかな皮をナイフで手際よく剥き、

果汁をぎゅっと絞り出すと、爽快な柑橘の香りが厨房いっぱいに満ちる。

そこへ、蜜のように甘いハニードロップの果肉を裏ごしして加え、

丁寧にかき混ぜていく。


「この配合が、酸味と甘みを一番引き立てるんだよな」


冷気を操る道具を使ってゆっくりと冷やし固めながら、

空気を含ませるように何度も優しく混ぜ合わせる。

次第に、なめらかでツヤのあるオレンジ色のジェラートが

バットの中に出来上がっていった。





カラン、と氷を浮かべた冷水をグラスに注ぎ、

朔夜はクロノ用の器にも冷たい水を入れてカウンターへ運ぶ。


「クロノ、お待たせ」


器を置くと、クロノは喉を鳴らしながら美味しそうに水を飲み、

満足そうに口のまわりをペロリと舐めた。


表の札を『営業中』に返し、扉を開けると、

爽やかな朝風と共に、すでに開店を心待ちにしていた

街の人々の気配が感じられた。





「おはようございます、サクヤさん!

今日もあの冷たいやつ、やってるかい?」


「おはようございます。はい、しっかり仕込んでありますよ」


笑顔で迎え入れる朔夜の横で、

クロノも「いらっしゃいませ」とばかりに尻尾を揺らした。


夏の強い陽射しを心地よい涼へと変える、

黒猫亭の新しい一日が幕を開けるのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ