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『潰れかけ喫茶店ごと異世界転移したので、黒猫と静かに営業していたら最強の休憩所になっていました』  作者: CASCADE


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第八十四話 営業再開とひんやりのおすそ分け




二連休が明け、黒猫亭はいつも通りの朝を迎えた。


表の札を『営業中』へと裏返すと、

早くも照りつける八月の強い日差しに、

朔夜は眩しそうに目を細める。


「ふぅ、今日も暑くなりそうだな……」


カウンターの上では、クロノが定位置に座り、

「いらっしゃいませ」の準備万端とばかりに

金色の瞳をキラリと輝かせていた。





開店して間もなく、カランコロンとドアベルが鳴り、

肩を落としたガルドが汗を拭きながら入ってきた。


「うへぇ……マスター、あちぃよ……。

連休明けるの待ってたぜ。冷たい水出し珈琲を一発頼む!」


「おはようございます、ガルドさん。

本当にお疲れ様です、すぐにお持ちしますね」


朔夜は氷を入れたグラスにキリッと冷えた水出し珈琲を注ぎ、

カウンター越しに差し出した。


「生き返るぜぇ……! やっぱこの苦味と冷たさがたまらん」





息を吹き返したガルドを見て、朔夜はふっと微笑み、

冷蔵庫から小さな硝子皿を取り出した。


「ガルドさん、実は連休中に市場で見つけた果物で、

新しい冷たいデザートを試作してみたんです。

よければ味見してみませんか?」


「おっ、新作か!? もちろん食うぜ!」


目の前に置かれたのは、透き通るような鮮やかなオレンジ色の、

ひんやりとした『特製フルーツジェラート』だった。





「うおっ、見た目からして涼しそうだな……いただきます!」


スプーンですくって口に放り込んだ瞬間、

ガルドの目がカッと見開かれた。


「……ッ!? なんだこれ、冷たくてめちゃくちゃ美味ぇ!

最初はサマーベルの酸味が爽やかに来て、

あとからすっげぇ濃厚な甘みが広がるぞ……!」


「ハニードロップという甘い果実を合わせているんです。

氷菓子ほど固くなく、口溶けを滑らかにしてみました」


「まさにこの暑い夏にぴったりだ!

マスター、これ早くメニューに出してくれよ。

絶対みんな飛びつくぜ!」


大絶賛するガルドの横で、クロノが「美味いでしょ」と

誇らしげに喉をゴロゴロと鳴らした。

連休明けの黒猫亭に、また一つ新しい笑顔が咲くのだった。

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