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『潰れかけ喫茶店ごと異世界転移したので、黒猫と静かに営業していたら最強の休憩所になっていました』  作者: CASCADE


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第八十一話 陽だまりの瞳と小さな休日




大盛況だった期間限定イベントが明け、

黒猫亭はいつも通りの穏やかな朝を迎えていた。


仕込みと開店準備を早めに終わらせた朔夜は、

今日を『特別にのんびり過ごす日』と決め、

看板を準備中のままにして厨房から出てきた。


窓からは温かな日差しが差し込み、

店内を優しく包み込んでいる。


「ふぅ……久しぶりに、ゆっくりできるな」


出来立ての温かい珈琲をカップに注ぎ、

朔夜はカウンターの席に腰を下ろした。





「にゃ〜ん」


甘い声を上げてやってきたのは、クロノだ。

膝の上にぽんと飛び乗ってくると、

心地よさそうに丸くなり、喉をゴロゴロと鳴らし始める。


窓からの光を受けて、クロノの瞳がキラリと輝いた。

黒い毛並みに映える、吸い込まれそうなほど美しい金色の瞳。

その瞳が、眩しそうに細められていく。


「お前も、イベントの間ずっと看板猫を頑張ってくれたもんな。

今日は一日、ここでゆっくりしよう」


朔夜が顎の下を撫でてやると、

クロノは「うにゃう」と満足そうに返事をした。





静かな店内に、珈琲の香ばしい湯気と

クロノの規則正しい寝息だけが満ちていく。


膝の上の温もりを感じながら、朔夜はぼんやりと

今回のイベントのことを思い出していた。


(気密瓶のおかげでルリリンゴの良さを引き出せた……。

あの技術があれば、今後は果物のシロップ漬けや

ジャムなんかも作れるかもしれないな)


忙しかった日々が過ぎ去り、頭の中に

新しいアイデアがふつふつと湧いてくる。

それもこれも、黒猫亭を愛してくれる客たちと、

隣にいてくれるクロノのおかげだった。





「さて……明日からまた、美味いものを楽しんでもらわないとな」


そっとクロノの背中に手を添えると、

金色の瞳をほんの少し開けたクロノが、

「任せて」と言うように朔夜の手のひらに頭を擦り寄せてきた。


陽だまりの中で温かいエネルギーをたっぷりと充填し、

黒猫亭の小さな休日は、静かに過ぎていくのだった。

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