表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『潰れかけ喫茶店ごと異世界転移したので、黒猫と静かに営業していたら最強の休憩所になっていました』  作者: CASCADE


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
80/101

第八十話 一番乗りの念願と星空の終わり




翌朝、黒猫亭の開店とほぼ同時に

ドアが激しく押し開けられた。


「マスター! 一番乗りだぞ!!」


息を切らして飛び込んできたのは、宣言通りのガルドだった。

本当に誰よりも早く駆けつけたようで、

店内にはまだ他のお客の姿もない。


「おはようございます、ガルドさん。

本当に一番乗りですね」


「おうよ! 今日こそは絶対に逃さねえって決めてたからな!

例の『星空プリン』と水出し珈琲、頼む!」





「……ッ!? なんだこれ……!

プリンが口の中でとろけるのに、この瑠璃色のソースが

すっごく爽やかで……美味すぎる!!」


豪快に口へ運び、すかさず水出し珈琲を一口流し込んだガルドは、

「くぅぅっ……!」と深く唸り声を上げた。


「ビターな珈琲が甘さをキリッと締めてくれやがる……!

昨日あいつらが羨ましがってた理由がよく分かったぜ!」


念願のプリンを綺麗に完食し、ガルドは大満足の笑顔で店を後にした。





そして夕方。噂を聞きつけた客たちが次々と押し寄せ、

用意していた最後の『星空プリン』は、あっという間にすべて売り切れた。


「申し訳ありません。これで今回の『星空プリン』はすべて完売となります」


「まじか〜! もう終わりなのか! 食えたやつが羨ましいぜ!」


残念がりつつも「また次の限定も楽しみにしてるぜ!」と

笑顔で帰っていく客たちの背中を見送りながら、朔夜はふっと笑みをこぼした。


(なんだかんだ言って、異世界の人たちも

『期間限定』っていう言葉には目がないんだな……)


日本でも異世界でも、今しか味わえない特別な体験に

心を躍らせる気持ちは変わらないのだと、朔夜はしみじみと実感していた。





パタンと静かにドアを閉め、表の黒板を丁寧に拭き上げる。

『期間限定』の文字が消え、ルリリンゴの星空プリン企画は

大盛況のうちに無事、幕を閉じた。


「さて……クロノ、お疲れ様。次はクロノの番だな」


看板猫として黒板のモデルになり、接客を頑張ってくれたクロノのために、

朔夜は新鮮な鳥ささみを細かく刻み、出汁でじっくり煮込んだ特製スープを作った。


「お待たせ、頑張ってくれたお礼だ」


カウンターに器を置くと、クロノは「にゃ〜ん!」と歓声を上げ、

嬉しそうにしっぽをパタパタと振りながら夢中でスープを舐め始めた。


愛猫の幸せそうな姿を優しく撫でながら、朔夜は深く満足の息をつく。

特別な『星空プリン』がもたらしてくれたたくさんの笑顔を胸に、

黒猫亭はまた、いつもの穏やかな日常へと戻っていくのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ