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『潰れかけ喫茶店ごと異世界転移したので、黒猫と静かに営業していたら最強の休憩所になっていました』  作者: CASCADE


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第七十九話 瑠璃色の余韻と完売御礼




日が完全に落ち、夜の深まりと共に

黒猫亭の熱気は最高潮を迎えていた。


「おいマスター! 俺にも例の『星空プリン』と水出し珈琲くれ!」


「申し訳ありません、ガルドさん。ちょうど今ので『本日分』は完売となってしまいました」


厨房で手際よく皿を下げていた朔夜が申し訳なさそうに伝えると、

カウンターに滑り込んできたガルドは「なにぃ!?」と大声を上げた。


「くっそ〜! 一足遅かったか……!」


頭を抱えて悔しがるガルドの横で、

運良く『最後のひとつ』を射止めた常連の男が、

ドヤ顔でスプーンを構えていた。





「悪いなガルド! この最後のひとつは俺の胃袋に収まる運命だったのさ!」


「てめぇ……一口味わって食えよな!」


羨望の視線を一身に浴びながら、男は瑠璃色のソースがかかった

星型のプリンを口へと運ぶ。

途端にその表情がとろけるような笑顔に変わり、

セットの水出し珈琲をコクりと飲んで、深いため息をついた。


「……はぁぁ、うめぇ。濃厚なのに後味がすっきりしてて、

いくらでも食えそうだ……! 明日も絶対食いに来るぞ!」


「ガルドさん、明日もまたしっかりと仕込んでおきますので、

ぜひお早めにいらしてくださいね」





「本日の『星空プリン』、全て完売となりました。

皆さん、本当にありがとうございました!」


朔夜が感謝を込めて深く頭を下げると、

店内からは大きな拍手と歓声が沸き起こった。


「マスター、また明日も頼むぜ!」

「最高のデザートだったよ!」


「おいおいお前ら、明日の分は俺が絶対食うんだからな!

一番乗りの席は誰にも譲らんぞ!」


ガルドが指をさして周囲を威嚇すると、「ハハッ、負けねえぞガルド!」と

店内は最後まで大きな笑い声に包まれた。

大満足の表情を浮かべた客たちが、名残惜しそうに、

けれど晴れやかな笑顔で一人、また一人と店を後にしていった。





パタンと静かにドアが閉じ、店内に静寂が戻る。


「……ふぅ、すごかったな」


朔夜が安堵の息をつくと、カウンターの上で

ずっと看板猫を務めていたクロノが「にゃ〜ん」と甘えた声を出し、

朔夜の腕にすり寄ってきた。


「お疲れ様、クロノ。お前のおかげで大盛況だったよ」


愛猫の頭を優しく撫でながら、朔夜は空になった厨房を見渡す。

現代の知識と異世界の魔法、そしてみんなの笑顔が繋いだ特別な一日。

心地よい疲労感と確かな手応えを胸に、

黒猫亭の夜は静かに更けていくのだった。

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