↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『潰れかけ喫茶店ごと異世界転移したので、黒猫と静かに営業していたら最強の休憩所になっていました』  作者: CASCADE


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
79/182

第七十九話 瑠璃色の余韻と完売御礼




日が完全に落ち、夜の深まりと共に

黒猫亭の熱気は最高潮を迎えていた。


「おいマスター! 俺にも例の『星空プリン』と水出し珈琲くれ!」


「申し訳ありません、ガルドさん。ちょうど今ので『本日分』は完売となってしまいました」


厨房で手際よく皿を下げていた朔夜が申し訳なさそうに伝えると、

カウンターに滑り込んできたガルドは「なにぃ!?」と大声を上げた。


「くっそ〜! 一足遅かったか……!」


頭を抱えて悔しがるガルドの横で、

運良く『最後のひとつ』を射止めた常連の男が、

ドヤ顔でスプーンを構えていた。



◆



「悪いなガルド! この最後のひとつは俺の胃袋に収まる運命だったのさ!」


「てめぇ……一口味わって食えよな!」


羨望の視線を一身に浴びながら、男は瑠璃色のソースがかかった

星型のプリンを口へと運ぶ。

途端にその表情がとろけるような笑顔に変わり、

セットの水出し珈琲をコクりと飲んで、深いため息をついた。


「……はぁぁ、うめぇ。濃厚なのに後味がすっきりしてて、

いくらでも食えそうだ……! 明日も絶対食いに来るぞ!」


「ガルドさん、明日もまたしっかりと仕込んでおきますので、

ぜひお早めにいらしてくださいね」



◆



「本日の『星空プリン』、全て完売となりました。

皆さん、本当にありがとうございました!」


朔夜が感謝を込めて深く頭を下げると、

店内からは大きな拍手と歓声が沸き起こった。


「マスター、また明日も頼むぜ!」

「最高のデザートだったよ!」


「おいおいお前ら、明日の分は俺が絶対食うんだからな!

一番乗りの席は誰にも譲らんぞ!」


ガルドが指をさして周囲を威嚇すると、「ハハッ、負けねえぞガルド!」と

店内は最後まで大きな笑い声に包まれた。

大満足の表情を浮かべた客たちが、名残惜しそうに、

けれど晴れやかな笑顔で一人、また一人と店を後にしていった。



◆



パタンと静かにドアが閉じ、店内に静寂が戻る。


「……ふぅ、すごかったな」


朔夜が安堵の息をつくと、カウンターの上で

ずっと看板猫を務めていたクロノが「にゃ〜ん」と甘えた声を出し、

朔夜の腕にすり寄ってきた。


「お疲れ様、クロノ。お前のおかげで大盛況だったよ」


愛猫の頭を優しく撫でながら、朔夜は空になった厨房を見渡す。

現代の知識と異世界の魔法、そしてみんなの笑顔が繋いだ特別な一日。

心地よい疲労感と確かな手応えを胸に、

黒猫亭の夜は静かに更けていくのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。