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『潰れかけ喫茶店ごと異世界転移したので、黒猫と静かに営業していたら最強の休憩所になっていました』  作者: CASCADE


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第七十八話 香りと笑顔の特等席




賑わう店内のドアベルが再び鳴り、

元気な男の子の声が店内に響いた。


「サクヤお兄ちゃん! クロノちゃん!」


入ってきたのはルカくんと、そのお母さん。

そして偶然入り口で一緒になった薬師のセレスさんだった。

黒板の噂を聞きつけて駆けつけてくれたらしく、

ルカくんは目を輝かせてカウンターへと向かってくる。


「いらっしゃいルカ、お母さん。セレスさんも。

ちょうどテーブル席が空きましたよ」


朔夜が優しく迎えると、足元に駆け寄ってきたルカくんを

クロノが「いらっしゃい」と言わんばかりに

すり寄って出迎えた。





「黒板を見たわ、サクヤさん。

あの幻の果実ルリリンゴをデザートにしたのね」


「噂を聞いてずっと楽しみにしていたんです」


セレスさんとお母さんが微笑み合いながら注文し、

朔夜は丁寧に淹れたアールグレイや珈琲と共に、

瑠璃色のソースが輝くプリンを運んでいった。


「わあぁ……! お星さまみたいで、すっごくかっこいい!」


瑠璃色のソースと星型のプリンに、ルカくんは目を輝かせた。





ルカくんはスプーンを手に取り、プリンとソースを大きくすくって

口いっぱいにほおばった。


「……んんっ! 甘くて、ちょっと甘酸っぱくて……すげえうまい!」


「ルカ、口のまわりについてるわよ。ふふ、でも本当に美味しいわね」


嬉しそうにお母さんが微笑む隣で、

セレスさんも静かにスプーンを口へと運ぶ。

途端にその目が見開かれ、感心したように頷いた。


「素晴らしいわ、サクヤさん……。ルリリンゴの上品な酸味が、

プリンのコクで引き立てられているわ。

それに、このアールグレイの香りと合わさると完璧ね」





「薬草や素材に詳しいセレスさんにそう言ってもらえると、

頑張って試作した甲斐がありました」


「ルリリンゴは傷みやすく加工が難しかったはずよ。

この瑞々しさを保っているなんて……本当にすごいわ」


セレスさんの称賛に、ルカくんも誇らしげに

「サクヤお兄ちゃんはすごいんだぞ!」と胸を張る。


ルカくん家族の温かい笑顔と、セレスさんの感嘆の声。

店内を包む甘く華やかな香りに、

朔夜とクロノは心からの達成感を味わうのだった。

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