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『潰れかけ喫茶店ごと異世界転移したので、黒猫と静かに営業していたら最強の休憩所になっていました』  作者: CASCADE


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第七十七話 瑠璃色の開店と約束の品




約束の七日目の朝。

黒猫亭のドアベルが、待ちわびた音色を響かせた。


「やあサクヤ! 待たせたね、約束の品だよ!」


晴れやかな笑顔で入ってきたレインの足元には、

厳重に梱包された大きな木箱が置かれていた。

箱を開けると、先日買い取ったものと寸分違わぬ、

美しい『気密の硝子瓶』がぎっしりと並んでいる。


「これだけあれば十分だろう。

最高の状態で手配できたよ」


「ありがとうございます、レインさん。

完璧です」


朔夜は深く感謝を伝えると、あらかじめ仕込んでおいた

特別な瑠璃色の瓶を一つ取り出し、レインの前へと差し出した。





「……約束のお礼です。僕からの感謝の気持ちですので、

どうぞ受け取ってください」


「おや……! 本当にいいのかい!?」


美しく密閉された瑠璃色の瓶を受け取り、

レインはまるで宝物を手に入れた少年のように目を輝かせた。


「ありがとう、サクヤ! こんなに嬉しいお礼はないよ。

家に帰ったら、じっくりと味わわせてもらうよ!」


レインは大満足の笑顔で大切に瓶を抱え、

「健闘を祈るよ!」と爽やかに店を後にした。





瓶が揃えば、ここからは職人の時間だ。


朔夜は手際よく全ての瓶を煮沸消毒し、

仕込んでおいたルリリンゴのソースを詰めて完璧に脱気・密閉していく。

神様の「店を守る権限」が効いた冷蔵庫から、

冷えたクリーム色のプリンを取り出し、

星型の窪みに瑠璃色のソースをたっぷりと流し込んでいく。


カウンターの隅では、クロノが「ふふん」と

誇らしげに尻尾を振りながら作業を見守っていた。


準備は、全て整った。





そして夕方。開店の鐘を鳴らすと同時に、

待ちきれない様子で常連たちが店へとなだれ込んできた。


「マスター! 黒板見たぞ!

あの『星空プリン』、二つ……いや、三つ頂戴!」


「俺も! 二つ頼む!」


口々に注文を叫ぶ男たちに、朔夜は穏やかな、

けれど毅然とした笑みを向けた。


「申し訳ありません。大変希少な幻の果実を使っているため、

少しでも多くの方に味わっていただけるよう、

お一人様お一つまでとさせていただいております」





「そうか、幻の果実だもんな……!」

「おう、一人一つでも食えるだけありがたいぜ!」


数量制限の説明に納得した常連たちは、

益々その「プレミアムな一皿」への期待を膨らませる。


やがて、丁寧に淹れられた水出し珈琲やアールグレイと共に、

星型の瑠璃色が輝くプリンがテーブルへと運ばれていった。


「……う、うめぇえええ!!」


一口食べた瞬間、店内に歓喜の悲鳴が上がり、

黒猫亭は過去最高の熱気と笑顔に包まれていくのだった。

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