第百八十三話 届く招待状と、天空都市の歓喜
「——ということで、アルテさん。黒猫亭で『大感謝祭』を開くことになりました。天空都市のみなさんにも、ぜひお越しいただきたいんです」
朔夜がしたためた招待状を手に、伝送の鏡を通じて言葉を伝えると、画面の向こうのアルテは感極まったように目を見開いた。
「サクヤ殿……! なんと素晴らしいお誘いでしょう! ぜひ、喜んで伺わせていただきます! 仕仕立て屋のシルフィはもちろん、宮殿の者たちにも声をかけ、最高のお祝いの品を持参いたします!」
「ふふ、ありがとうございます。楽しみにお待ちしていますね」
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通信を終えた朔夜がふうと息をつくと、足元でクロノが「みぁ〜っ」と裾を引っ張ってきた。
「よし、クロノ。招待状の手配はこれでバッチリだな。次はいよいよ、メインディッシュの構想だ」
「ふにゃ〜っ!」
クロノはトコトコと厨房へ走っていくと、棚の一番下にある特大の煮込み鍋をチョンチョンと前足で叩いた。
「おっ、さすがクロノ。やっぱり感謝祭といえば、みんなで大鍋を囲むような温かい料理がいいよな」
王都の肉と野菜、森のハーブ、そして天空都市から届くという未知の調味料。
あらゆる世界の恵みをひとつに溶け合わせる特製煮込み料理——それこそが、次元の「潮」をひとつに結ぶ最高のメインディッシュになると朔夜は確信した。
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そこへ、勢いよくドアベルが鳴り響いた。
「サクヤ! 王都の市場から最高の熟成肉と、一番摘みの野菜を確保してきたわよ!」
「僕も魔法学院から、会場をあたたかく包み込む極上の幻惑光の魔導具をお借りしてきました!」
セレスとレインが、たくさんの荷物を抱えて飛び込んでくる。
「みんな……本当にありがとう!」
「みぁ〜ん!」
クロノも歓迎の声をあげて二人の足元へ駆け寄る。
仲間たちの熱意と、遠く離れた異世界からの想いが、いま着々とこの黒猫亭へと集まりつつあった。
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カウンターの上の羅針盤は、まるで仲間の訪れを喜ぶかのように、日増しにあたたかくやわらかな光を宿していく。
次元の壁を越え、人々の心がひとつに重なる「大感謝祭」の日まで、あとわずか。
黒猫亭の物語は、絆が紡ぐ最高のクライマックスへと力強く突き進んでいくのだった。




