第百八十二話 絆を結ぶ「感謝祭」の提案
「なぁサクヤ、その『みんなのあたたかな想い』で世界を繋ぎ止めるってやつ……具体的にどうするつもりなんだ?」
腕を組みながら尋ねるガルドに、朔夜は両親の手記をそっと撫でながら微笑んだ。
「はい。王都の人たちも、異世界の住人さんも、今までこの黒猫亭を愛してくださったすべての人を招いて……大きな『感謝祭』を開こうと思うんです」
「感謝祭……! おお、そいつは素晴らしいアイデアじゃないか!」
ガルドが大きな掌を打ち鳴らし、豪快に笑った。
「色んな世界の美味いもんを集めて、みんなで腹いっぱい食べて笑い合う! これ以上の『温かさ』なんて、どこを探したってねぇもんな!」
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「クロノ、僕たちの本領発揮だぞ。準備はすっごく大変になると思うけど……手伝ってくれるか?」
「みぁ〜っ!」
クロノは「当たり前ニャ!」と言わんばかりに、カウンターの上で元気いっぱいに立ち上がり、前足でポーズを決めてみせた。
「ふふ、頼りにしてるよ。まずは、セレスさんやレインさん、そして天空都市のアルテさんたちにも相談して、招待状を送らないとな」
朔夜がペンを取り、ノートに感謝祭のメニュー案を書き始めると、クロノも真剣な顔つきで横から覗き込んでくる。
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その日の午後、店を訪れたセレスとレインに企画を話すと、二人は目を輝かせて大賛成してくれた。
「サクヤさん、なんて素敵な試みでしょう! 魔法学院の仲間たちにも声をかけて、会場の装飾や光の演出を手伝わせてください!」
「私も王都のギルドや市場に話を通して、極上の食材を集めてくるわ! 黒猫亭の歴史に残る、最高の宴にしましょう!」
「ありがとうございます、みなさん……!」
温かな仲間の後押しを受け、感謝祭の輪は一気に広がりを見せ始める。
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夜、静まり返った店内で、朔夜とクロノは真鍮の羅針盤の前に立っていた。
「クロノ、見てごらん」
「みぁ〜……」
ふたりが見つめる先で、羅針盤の針がかすかに揺れ、まるで祝福するようにあたたかな黄金色の光を静かに放っている。
両親が夢見た「世界を繋ぐ場所」。
すべての人々の笑顔と絆をひとつに結ぶ最高の祝宴に向けて、黒猫亭はついに最後の準備へと歩み出したのだった。




