第百六十九話 王都からの便りと、深まる信頼
午後の穏やかな光が差し込む店内。
特製焼きリンゴと珈琲を楽しんでいたガルドたちが一息ついた頃、カランコロンとドアベルが鳴り、一人の飛脚が店に入ってきた。
「お忙しいところすみません、黒猫亭のサクヤさん宛に、王都のギルド本部から親書が届いています」
「えっ、王都の本部からですか……? ありがとうございます」
朔夜が丁寧にお礼を言い、封蝋の押された重厚な手紙を受け取る。
◆
「王都から手紙だなんて、何かあったんですか?」
レインが心配そうに身を乗り出し、セレスとガルドも視線を手紙へと注ぐ。
朔夜が静かに手紙を開き、目を通していくと、そこには王都のギルド長からの感謝と、驚くべき内容が記されていた。
「……『迷いの森』の異常現象が収束したこと、そして周辺地域の安定に『黒猫亭』が大きく貢献したことに対する感謝状……みたいです」
「おおう! 王都の本部までサクヤの手柄が伝わったってことか! すごいじゃないか!」
ガルドが我がことのように嬉しそうに声を張り上げる。
「それだけではありません。この街を中心とした『次元の安定』を称え、王都から重要なお客様や、他の地域の冒険者たちが正式に黒猫亭を訪れる許可を求めてきています」
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「王都からの公認、ですか……」
朔夜は手紙をしっかりと抱きしめ、カウンターにいるクロノと視線を合わせた。
「父さんと母さんが守ってきたこの店が、いよいよ世界中に認められる場所になりつつあるんですね」
「みぁ〜ん!」
クロノが胸を張るように鳴き、朔夜の手元へ頭をすりすりと寄せた。
「ふふ、これからはもっと賑やかになりそうですね。サクヤさん、忙しくなりますが、僕たちも全力でサポートしますよ」
「ええ、サクヤのおいしいご飯のためなら、何だって手伝うわ」
「任せとけって! どんな客が来ても、俺たちがしっかりガードしてやるからな!」
◆
「皆さん……本当にありがとうございます。これからもよろしくお願いしますね」
朔夜の温かい感謝の言葉に、店内は大きな笑顔と歓声に包まれた。
両親の想いが詰まった小さな喫茶店は、いよいよ世界を繋ぐ真の「憩いの場」として、物語のクライマックスへ向けて大きな一歩を踏み出すのだった。




