第百六十一話 共鳴する心と、世界の安らぎ
台座の凹みに向けて、朔夜は真鍮の羅針盤をまっすぐに差し込んだ。
――カチリ。
隙間なく噛み合った瞬間、重厚な作動音が地下空洞全体に心地よく響き渡る。
直後、台座にまとわりついていた薄暗い魔力の澱みが、眩い黄金色の波紋によって一瞬で吹き散らされた。
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ドォン……と、大地の鼓動のような温かな振動が伝わってくる。
中央炉の巨大な水晶が内側から透き通るような輝きを放ち、蓄積されていた莫大な霊素が澄み渡った清流となって、壁面の回路へと滑らかに流れ出し始めた。
「……すごい。森全体から刺すような冷気が完全に消えていくわ」
セレスが杖を下ろし、自身の肌で感じる魔力の変化に目を丸くする。
「ああ、それだけじゃねえ。身体の底から活力が湧いてくるような……なんとも心地いい空気じゃねえか!」
ガルドが豪快に笑いながら、太い腕を組んだ。
「これで、黒猫亭とこの街を脅かしていた結界の暴走は、完全に抑え込まれたんですね……!」
レインも安堵の息を吐き、穏やかな笑顔を見せる。
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中央炉の光がやわらかな暖色へと落ち着くと、朔夜の胸元にいたクロノが「みぁ〜ん……」と満足そうに喉を鳴らし、朔夜の頬にすりすりと頭を寄せてきた。
「ありがとう、クロノ。……それから、みんな」
朔夜は振り返り、大切な仲間たちへ深く頭を下げた。
「みんなが一緒に来てくれなかったら、ここまで辿り着けなかった。本当に……ありがとうございました」
「よせやい、水くさい! 俺たちはサクヤの飯と店を守りたかっただけだって言ったろ?」
「そうよ。……それよりサクヤ、無事に任務完了となれば、やることはひとつでしょ?」
セレスがいたずらっぽく微笑み、お腹をすかせたような仕草をしてみせる。
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「ふふ、そうですね。無事に店へ戻ったら、みんなで最高のお祝いパーティーをしましょう!」
「ふにゃ〜っ!」
クロノの元気な一声が、光に満たされた地下空洞に高く響き渡る。
両親から受け継いだ大切な店を守り抜いた達成感と、確かな絆を胸に――朔夜たちはあたたかな日常が待つ地上へ向けて、晴れやかな足取りで歩み始めるのだった。




