第百三十七話 冷え込む夜と、特製ホットチョコレート
秋も終わりに近づき、夕暮れを過ぎると街には冷たい風が吹き抜けるようになっていた。
カサカサと落ち葉が舞う路地から、ガラガラと黒猫亭の扉が開く。
「うう、寒くなってきたね……! サクヤさん、何か温かい飲み物はあるかい?」
これからやってくる冬に備えて仕入れた、冬物衣料の大きな荷物を抱えたレインが、肩をすくめながら駆け込んできた。
続いてガルドやセレスもやってきて、あたたかな店内へホッとした表情で入ってくる。
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「ちょうど今、心まで温まる甘い飲み物を作っていたところですよ」
朔夜が厨房から持ってきたのは、マグカップから濃厚な甘い湯気が立ち上る『特製ホットチョコレート』だった。
上質なカカオにたっぷりのミルクと少しのスパイスを加え、仕上げにふわふわの削りチョコと生クリームをトッピングしてある。
「まあ、なんて美味しそうな香り……!」
「へへ、いただきまーす!」
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一口飲んだレインの顔が、一瞬でとろけるような笑顔に変わった。
「うわあ……あたたかくて甘くて、体に染み渡るよ……! スパイスが効いてて体の芯からぽかぽかしてくる」
「この深い甘さはクセになるな。カカオの豊かな風味がたまらんぞ」
ガルドも満足そうに髭を撫でる。
カウンターの端では、クロノが小さな専用皿に入れられた温かいホットミルクを幸せそうに舐めていた。
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「サクヤさんの作るものは、本当に季節の変わり目にぴったりね。この店に来ると、外の冷え込みなんて忘れちゃうわ」
セレスがマグカップを両手で包み込みながら、しみじみと呟く。
「みんなが寛いでくれるのが、一番嬉しいですよ」
朔夜は微笑みながら、あたたかなホットチョコレートを注ぎ足した。
少しずつ冬へと向かっていく異世界の晩秋。
けれど黒猫亭の店内には、今夜も変わらない温かな光と笑顔があふれていた。




