第百三十二話 大収穫祭の開幕と黒猫亭の屋台
大収穫祭の朝。秋晴れの澄み渡る空の下、街には朝早くから賑やかな音楽と人々の笑い声が響き渡っていた。
大通りには所狭しと魅力的な屋台が立ち並び、黒猫亭もまた、中央広場の一角に特設の屋台を構えていた。
「サクヤさん! 準備はバッチリかい?」
看板を設置し終えたレインが、満面の笑みで声をかけてくる。
エプロン姿の朔夜は、温め直した大きな寸胴鍋の蓋を静かに開けた。
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途端に、黄金茸と琥珀芋、そして芳醇なバターの香りが混ざり合った極上の湯気が、広場いっぱいに広がっていく。
「うわあ……なんだこのいい香りは!?」
「黒猫亭の屋台だって! あの噂のシチューじゃない!?」
香りに引き寄せられるように、あっという間に人だかりができあがった。
「お待たせいたしました。『黄金茸と琥珀芋の秋恵みシチュー』、香ばしく焼いた丸パンのセットです」
朔夜が手際よくスープ皿に注ぎ、カリッと焼き上げたパンを添えて提供していく。
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「……ん〜〜っ! なにこれ、旨味が濃厚すぎるわ!」
「お芋がホクホクで甘い! キノコの食感も最高だぞ!」
熱々のシチューを口にした客たちから、次々と歓声が上がる。
看板の上にちょこんと座ったクロノも、赤いバンダナを首に巻き、「みゃーお!」とお客さんたちを愛嬌たっぷりに迎えていた。
「クロノちゃん可愛いー!」「シチューもう一杯頂戴!」と、黒猫亭の屋台は大盛況で、行列は伸びる一方だった。
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「ハハッ、大大成功だなサクヤ! 俺たち冒険者ギルドの連中も応援にきたぜ!」
大声を上げながらやってきたのは、大斧を背負ったガルドと、華やかなお祭り衣装に身を包んだセレスだ。
「サクヤさん、クロノちゃん、大繁盛ね! 私たちもお手伝いするわ」
頼もしい常連たちの助けも加わり、黒猫亭の熱気はさらに高まっていく。
秋の豊かな恵みと人々の笑顔に囲まれながら、黒猫亭の素晴らしい大収穫祭が、最高の形で幕を開けたのだった。




