第百二十九話 レインの知らせと黄金のキノコ
翌日の午前中。収穫祭のメニューについて試案を練っていた朔夜のもとへ、勢いよく扉が開く音が届いた。
「サクヤさん! クロノちゃん! 朗報だよ!」
入ってきたのは、いつも以上に目を輝かせたレインだった。
大きな荷箱を慎重にカウンターへ置くと、ふうと息をついて濡れ手ぬぐいで汗を拭う。
「収穫祭に向けて、南の山奥から最高のやつを仕入れてきたんだ。見てくれよ、これ!」
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レインが箱の蓋をそっと開けると、甘く芳醇な土の香りが一気に店内に広がった。
中に納められていたのは、傘の部分がまるで金箔を貼り付けたように美しく輝く、見慣れぬキノコだった。
「……綺麗なキノコですね。それに、すごく良い香りがする」
「だろ? これは『黄金茸』っていう、秋の限られた時期にしか採れない幻のキノコさ。加熱すると旨味が溢れ出して、最高の出汁が出るんだ」
箱をのぞき込んだクロノも、鼻をヒクヒクさせながら「ふみゃあ」と興味深そうに耳を澄ませている。
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「レインさん、こんな貴重なものを……ありがとうございます」
「へへっ、サクヤさんならこの黄金茸を最高の料理にしてくれると思ってさ!
収穫祭の目玉料理、黒猫亭が一番注目されるように一肌脱いだのよ」
レインは自信満々に親指を立てて笑ってみせた。
この街の人々は、誰もが黒猫亭の料理と、朔夜たちの存在を心から楽しみにしてくれている。
その温かい期待が、朔夜の背中を優しく押し込んでくれた。
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「よし……この黄金茸と琥珀芋、それに旬の根菜を合わせて、極上の秋の煮込み料理を作ってみましょう」
「おおっ! 絶対に旨い奴だ! 完成したら一番に試食させてくれよな!」
「ええ、もちろんです」
レインを見送り、朔夜はさっそく黄金茸の下処理に取りかかった。
街の一大イベントである大収穫祭に向けて、黒猫亭の本格的な準備がいよいよ幕を開けるのだった。




