第百二十六話 ルカと小さな秋のお客様
翌日の昼下がり、カランコロンと可愛らしいドアベルの音が響いた。
「サクヤお兄ちゃん、クロノちゃん、こんにちは!」
元気に飛び込んできたのは、街の少年ルカだった。
ルカは一直線にカウンターへ走ってくると、背伸びをしてクロノの顔をのぞき込み、それから目を輝かせて朔夜を見上げた。
「お外の看板見たよ! お芋のお菓子があるんでしょ? 僕、お小遣い貯めてきたんだ!」
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小さな手に握られた銅貨を見つめ、朔夜は柔らかく目を細めた。
「いらっしゃい、ルカ。琥珀芋のスイートポテトだね。ちょうど焼き上がったところだよ」
朔夜はルカを歩きやすい席へ案内し、焼きたてのスイートポテトと、子供でも飲みやすいほんのり甘いミルクティーを用意した。
「熱いから気を付けて食べるんだぞ」
「はーい! いただきます!」
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ルカはフォークで小さく崩し、ふーふーと念入りに息を吹きかけてから口へ運んだ。
「……んっ! 甘くておいしいーっ!
すっごくほくほくしてて、お口の中でとけちゃう!」
パッと顔を輝かせたルカは、嬉しそうに頬を緩ませた。
足元に寄ってきたクロノに「クロノちゃんも、これすっごく美味しいよ!」と話しかけると、クロノも「ふにゃ〜」と同意するように喉を鳴らす。
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「お兄ちゃん、これ、お母さんにも食べさせてあげたいな。お持ち帰りってできる?」
大切そうにミルクティーを飲むルカの言葉に、朔夜の胸が温かくなる。
「もちろんできるよ。お母さんの分は冷めにくいように、しっかり包んであげよう」
「本当!? ありがとう、サクヤお兄ちゃん!」
大事そうに小さな箱を抱えて帰っていくルカの後ろ姿を見送りながら、朔夜は静かに微笑んだ。
温かな甘みが、またひとつ小さな笑顔を咲かせた秋の午後だった。




