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『潰れかけ喫茶店ごと異世界転移したので、黒猫と静かに営業していたら最強の休憩所になっていました』  作者: CASCADE


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第百二十四話 夕暮れの報告と次なる秋




日が傾き、夕空が濃い橙色から紫グラデーションへと移り変わる頃。

ガラリと元気よく扉が開いて、大きな荷籠を背負ったレインが顔を出した。


「サクヤさん! 琥珀芋、どうだった? うまく仕込みに使えそうかい?」


「レインさん、ちょうどいいところに。ええ、おかげさまで大好評ですよ。昼過ぎに出したらあっという間に注文が入ってしまって」


朔夜がそう答えると、レインはぱっと顔を輝かせた。


「本当かい! いやぁ、やっぱりサクヤさんに買ってもらって正解だったな! あんなに旨い芋なら、街の連中も大喜びだろ」



◆



「これ、レインさんの分に取り置いておいたんです。食べてみてください」


朔夜が小皿に乗せたスイートポテトを差し出すと、レインは「いいのかい!?」と目を丸くしながら勢いよく口へ運んだ。


「……っうひょー! 何だこれ、めちゃくちゃ滑らかじゃないか!

あの芋がこんな上品でリッチな味わいになるなんて……サクヤさん、やっぱり魔法使いか何かか?」


「はは、ただ丁寧に裏ごししてバターと合わせただけですよ」


大大満足といった様子で頬を落としかけるレインを見て、カウンターのクロノも「ふふん」と誇らしげに鼻を鳴らした。



◆



「いやー、ごちそうさま! これで明日からの仕入れにも一段と気合が入るよ。

そうだサクヤさん、近いうちにまた南の農園から、今度は秋の根菜や珍しいキノコが入荷する予定なんだ。また声をかけるよ!」


「ええ、楽しみに待っています」


元気いっぱいに手を振って去っていくレインの後姿を見送り、朔夜は心地よい疲れとともに息を吐いた。



◆



静かになった店内で、朔夜は手帳を開き、明日からの「秋のティータイムセット」のメニューを書き書きと清書していく。


・紫雫葡萄の焼きタルト

・琥珀芋のスイートポテト

・蜜香茶(ストレート/ロイヤルミルクティー)


「いいラインナップになったな」


朔夜が呟くと、ひざの上に飛び乗ってきたクロノが、ぬくもりを分け与えるように丸くなった。


深まりゆく九月の夜風に包まれながら、黒猫亭の秋はますます豊かに、賑やかに彩られていくのだった。

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