第百二十二話 黄金色のおやつと秋の試食会
朔夜は裏ごしした琥珀芋に、少量のバターと生クリーム、ほんの少しのハニードロップを加え、丁寧に練り上げていった。
素材自体の甘みが強いため、余計な甘味料は必要ない。
丸めた生地の表面に卵黄をサッと塗り、香ばしさを出すために黒ゴマを少しだけ散らしてオーブンへ送る。
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数分後、香ばしいバターと甘い芋の香りが厨房いっぱいに広がった。
チーンと小気味よい音が鳴り、焼き上がったのは綺麗な黄金色にツヤツヤと輝く『琥珀スイートポテト』だ。
「よし、いい焼き色だ」
一口サイズに焼き上げたスイートポテトを皿に盛り、淹れたての温かいほうじ茶風の煎茶を添える。
クロノの分には、少量のアレに味付けなしの蒸し芋を小さくほぐして用意した。
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「冷めないうちに食べてみよう」
焼きたてをひとつ摘まみ、口に運ぶ。
表面の香ばしい皮目から、中から溢れ出すしっとりとなめらかな芋の甘み。
バターのコクが琥珀芋の風味をぐっと引き立て、喉を通ったあとに温かいお茶を飲むと、ホッとするような優しさが身体中に染み渡っていく。
「……うん、美味い。焼き芋の素朴さと、洋菓子のリッチさが上手くまとまったな」
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クロノも夢中で自分の皿を舐めまわし、綺麗に平らげると「みゃーお!」と満足気に鳴いて朔夜の足元に体をすり寄せた。
「ふふ、合格みたいだな。
これなら肌寒い日のティータイムに、温かいお茶と一緒に楽しんでもらえそうだ」
秋の深まりとともに、黒猫亭のメニューにはまたひとつ、心をほっこりと温める優しい味が加わろうとしていた。




