↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『潰れかけ喫茶店ごと異世界転移したので、黒猫と静かに営業していたら最強の休憩所になっていました』  作者: CASCADE


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
101/172

第百一話 祭りの余韻と秋の香草茶




百日記念の賑やかな一日が明け、黒猫亭にはいつもの落ち着いた朝が訪れていた。


看板を磨き終えた朔夜が店内に戻ると、カウンターの上でクロノが満足そうに長々と手足を伸ばしてくつろいでいる。

昨日は一日中みんなに可愛がられて大活躍だった看板猫も、心地よい達成感に包まれているようだ。


「クロノ、昨日は本当にお疲れ様。みんなすごく喜んでくれたな」


朔夜が声をかけると、クロノは金色の瞳をとろんと細めて「うにゃぁ」と喉を鳴らした。



◆



カランコロンと、いつもより少し早い時間にドアベルが鳴った。


「おはよう、サクヤさん。昨日はお祝いの席にお邪魔できて嬉しかったわ」


入ってきたのは、薬師のセレスさんだった。

手には丁寧に麻布で包まれた小さな籠を提げている。


「セレスさん、おはようございます! 昨日はありがとうございました」


「これね、百日のお祝いのお返しというわけじゃないのだけれど……今朝、薬草園で採れたばかりの『月光草』と秋の乾燥ハーブよ。サクヤさんのお店のお茶に使えないかしらと思って」



◆



包みを開くと、ふわりと澄んだ爽やかな香りと、どこか懐かしい甘い香草の匂いが店内に広がった。


「わあ……すごく清々しい香りですね。少し柑橘のような爽やかさと、深みのある甘さがあります」


「そうでしょう? 季節の変わり目で夏の疲れが出やすい時期だから、身体を温めて胃腸を整えるブレンドにぴったりなのよ」


カウンターから身を乗り出したクロノも、籠のハーブに興味津々で鼻を近づけ、くんくんと匂いを確かめている。



◆



朔夜はさっそく湯を沸かし、セレスさんのハーブを使った新しい温かいお茶を淹れて差し出した。


「ふう……とても優しくて、身体の奥まで染み渡る味ね」


「セレスさんのおかげで、秋に向けた素敵な一杯ができました」


百日という節目を越え、秋へと移りゆく風の中で。

黒猫亭のカウンターには、またひとつ新しい温もりが静かに溶け込んでいくのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。