第百話 黒猫亭百夜と感謝の特製プレート
初投稿してから100話目まで来ました!拙い小説をここまで読んでくださり、本当にありがとうございます!元々ゆっくり物語が進むものと決めていたので、なかなか進まないなぁ、変化ないなぁと思われると思いますが、このまま、ゆっくり完結へ向けて頑張っていくのでこれからもよろしくお願いします_(._.)_
朝の澄んだ風が、黒猫亭の窓を心地よく吹き抜けていく。
エプロンをきゅっと締めた朔夜は、厨房のカレンダーを眺めてふっと息を漏らした。
「クロノ、気づけば今日で……この店を開いてからちょうど『百日目』だな」
カウンターの定位置に座っていたクロノが、金色の瞳を丸くして「にゃん?」と首をかしげる。
右も左も分からぬまま始まった異世界での日々。
今ではたくさんの常連客に恵まれ、温かな笑顔が満ちる場所になっていた。
「ここまでやってこられたのも、みんなと……何より一番近くで支えてくれたクロノのおかげだな。今日は感謝を込めて、特別な仕込みをしよう」
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朔夜が用意したのは、これまで黒猫亭を彩ってきた四季折々の味をぎゅっと詰め込んだ『百日記念の特製アソートプレート』だった。
夏を締めくくるサマーベルとハニードロップのミニジェラート。
お店の定番となった香ばしい焼き菓子。
そして、訪れてくれた人たちへのささやかな贈り物として、クロノの肉球を模した特製ミニクッキーを丁寧に焼き上げていく。
オーブンから香ばしいバターと甘い果実の香りが立ち上ると、クロノは待ちきれないように鼻をひくひくさせて足元をぐるぐると回った。
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開店のベルが鳴ると、噂を聞きつけたガルドやセレスさん、ルカくん親子、果物屋のおばちゃん、そしてレインまでが次々と顔を見せた。
「マスター、百日目なんだってな! おめでとう!」
「サクヤさん、いつも美味しい癒やしをありがとうね」
運ばれてきた華やかな記念プレートに、店内のあちこちから歓声が上がる。
肉球クッキーを目にしたルカくんは「クロノちゃんの足あとだ!」と目を輝かせ、大人たちも懐かしい味と新しい味の競演に舌鼓を打った。
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賑わう店内の真ん中で、クロノはみんなに「おめでとう」「いつも可愛いね」と優しく撫でられ、得意げにしっぽをぴんと立ててゴロゴロと喉を鳴らしている。
(この街に来て、店を開いて、本当によかった)
グラスを磨きながらみんなの笑顔を見つめる朔夜の胸に、じんわりと温かい感謝が満ちていく。
百の夜を越え、黒猫亭の物語はこれからも、一人と一匹の確かな歩みとともに紡がれていくのだった。




