99.ちょっとした介入
「ねぇ…なんでミオとレオを不老不死にしてあげないの?」
死神はそんなことを聞いてきた。
「…その話…したっけ?」
そもそも、ミオとレオの話なんてした覚えはない。
「ソフィアちゃんのことなら、なんでもわかるよ〜?」
「そうなんだ」
「ふふっ…じゃあ教えてよ。その理由」
「…そんなに大した理由じゃないんだけど…あの子達が大人になるまでは不老不死にしたくないというか…少年少女の段階で成長が止まるのは、あの子達の選択肢が奪われるというか…」
そう言い切ったきり、死神は固まった。
「あら…あらあらあらあら…◆◆ちゃんそんなに…へぇ………?」
死神は口に手を当てて、そう呟く。
「…?」
「いやぁ…たった十数年で……イザベラは正しかったねぇ〜?」
死神はそう言うと、私の顔を両手でぐいっと近づけて、品定めするように眺め始めた。
3分後、満足したのか死神はパッと離す。
「ふーん…幾ら見ても、触っても…反応しない…そこは変わらないんだ」
「変わらない…?」
「…そこすら覚えてないんだ?まぁそれもそっか。
で、本当に『不老不死にしてあげない』の?」
死神はそう聞いてくる。
「どういう…?」
「何故、選択させてあげないの?あの子達もちゃんと考えられるし、選択できるんだよ?」
無表情で、無機質な声で、そう言う。
言われてみれば…どうして私は与えてばかりで…選択させてあげなかったのだろうか……
一度でも『あの子はどう考えるか』なんて考えたことはあったのだろうか……
あぁ…あぁ…私の責任……私のせい……
気づいたら…頭を抱えていた。
何故あの子達を…私の物であるかのように……私は…私の事を実験対象扱いをしていた父親と…美術品扱いをしていた母親と…何も変わらない……
「そんなわけない」
…声の方向にはイザベラがいた。
「思い出して。貴女は本当に…あの子達を『物』扱いしていた?貴女は不器用なりにあの子達に愛を与え、育てた。違う?」
そう…なのだろうか…
「あんたねっ!自己肯定感が低すぎるのよ!いつもいつもっ……ほんっと……どれだけ愛されててっ…頼られてるのか、自覚してよっ…!それこそレオとミオが可哀想…!」
どう…どうすれば……
「あんたのそのっ!人類を滅ぼせるレベルの脳で!考えなさいよ!本当っ……に…っ…!」
イザベラはそう言い残し、涙を溢れさせながら、去ってしまった。
…嫌われてしまったのだろうか…
…涙が溢れてきた。私は何故…こんなに…
「…うわっ怖………」
死神はそう言うと、私の顔を上げさせて、指で涙を拭った。
「イザベラは、貴女を嫌った訳じゃないの。ただ、言い過ぎちゃっただけよ」
「でも…」
「でもじゃない。そもそもまだ、思考纏まってないでしょ?」
死神はそう言い、頭をポンポンと叩く。
「どうすれば…良いの…?」
「今は寝て。そして思考をちゃんと纏めるの」
「……わかった」




