96.自爆魔法の活用法
「…自爆魔法?」
ここ3年ほどで、新しく始めた趣味がある。
それは、イザベラによる魔法講義を聞くことだ。
どんな魔法でも活用法はあるわけで、覚えておいて損はない。
「そう。魔力の生成をやってる心臓を自ら暴走させて、大爆発を起こす魔法。まぁあんたレベルだと自爆しようとすると神が制限かけるんだけど」
「もしかして…威力が高すぎて生態系を破綻させるから…とか?」
「えーとね、確かあんたのいた世界だと似たような威力の兵器が…あぁ…『原子爆弾』ってやつが似てるわ」
「へぇ…じゃあ心臓みたいに魔力を生成できる構造の装置を作って、魔力を送り込み、稼働させた状態で暴走させれば効率的に大爆発が起こせると?」
「……ええ、理論上は」
人形達を作った時と同じ要領で模造心臓を生成。
ちなみに15%魔導合金製である。
「ちょっ…ちょっと!この屋敷でやるわけ!?」
「いや、森でやろうかなって…とりあえず出しただけ」
「ならそう言ってよ…もうっ!焦ったじゃない!」
「ごめんなさい」
「はぁ…」
模造心臓を取り出し、魔力を送り込んで、過剰に動かし、暴走させる。
ギリギリのところで投擲。
爆発……ん?フラッシュ?
意外なことに起きたのは爆発ではなく、青白く激しい閃光だった。
模造心臓は粉々になっていて、跡形もない。
「目がチカチカするわね。まぁ…素材の差によるものじゃないかしら…あと、そもそもが生きている存在が発動する魔法であって、その点でバグった可能性もあるわね」
…なるほど。
「ところで、自爆魔法って私のは制限かかるみたいだけど、さっきやった通り、命令自体は出せるよね?」
「ええ、ただ心臓の魔力を暴走させるだけだものね」
「じゃあさ、私が自爆魔法発動したら、私の身体は自爆しない…けど、魔力暴走を引き起こすような魔力は私の身体をぐるぐると巡るわけでしょ?」
「そう…ね?ものすごく嫌な予感がするけれど」
「つまり戦闘時に自爆魔法を発動した状態で、他の、私以下の魔力許容量の心臓を持った生き物に触れれば相手を自爆させられるのでは?」
「は…はぁ…?や、やってみなさいよ」
そう言われたので、そこら辺を動き回っていた野兎に似た魔術生物を掴んで、自爆魔法を発動する。
次の瞬間、野兎は爆散して、肉片として飛び散った。
「…ん?」
もっとこう…爆発するものではないのだろうか…
どちらかといえばこれは…
「自壊?」
「自壊ね…多分、心臓自体が魔力暴走を起こす前に、全身の魔力が暴走して、バラバラになったんじゃないかしら。
…また新しい魔法を発明したっぽいわね。
おめでとう。記念すべき30個目よ」
皮肉げにイザベラはそう言う。
…ありがとう…?




