92.革命家の日記II
ウーリャ視点
革命とは、少数の異端的存在により領導された人民大衆が巻き起こす人工の災害である。
革命下において、既存の政治的価値観は一切意味を持たない。
昨日の『英雄』は今日の『悪魔』となり、昨日の『神より授けられし神聖なる最高法規』は今日の『旧体制を象徴する悪辣な反革命的弾圧法』と成り下がる。
このような『風潮』の中で、自己の思想を強硬に主張し、頑なに変えない…
それはどれほど賢く…そして愚かな行為だろうか。
…いや、逆もまた然り…かもしれない。
前世において、一般にポピュリズムとは、酷く嫌悪されるものであった。
歴史的にそれが普通だろう。
ポピュリズムとは往々にして『極端な弾圧』や、むしろ逆の、『腐敗した硬直的体制』を生む原因となりうる思想だ。
…少なくとも…数例、歴史上でそのようなことがあったと私は記憶している。
ここまで聞くとポピュリズムは大して良い思想とは言えないかもしれない。
しかしながら、これは極めて利用価値のある合理的なものと言わざるを得ない。
その理由は…この思想の本質が、『大衆』の『感情』に『迎合』する思想だからである。
わざわざ面倒くさい理屈を捏ねくり回し、啓蒙と称して訳の分からないことを一部の大衆に吹き込むよりか、大衆の感情に訴えて、共感を得る方が簡単なのである。
あぁ…読者諸賢…いや、その中でも、こういった穢らわしい政治的議論が嫌いな紳士淑女の皆々様にも、この意味を分かりやすく喩えることで理解してもらいましょう。
……ふむ…どう喩えたものか。
ではまぁ…まず、皆様は羊だとしましょう。
ええ、白い毛を蓄えた可愛らしい羊です。
で、あなたたちを率いる賢い豚が2人いるとします。
なぜ豚か?…ふむ、まぁ先達へのオマージュですよ。
その2匹の豚…特に深い意味はありませんが『ナポレオン』と『スノーボール』と名付けましょうか。
ナポレオンとスノーボールはそれぞれ、とあることを主張していました。
「我々は今、かつてはあの憎き人間達がやっていた労働を代替することで何とか生活を成り立たせている…が、私はこれ完璧に無くす方法を知っている。
それは風車の建設だ!既に計画は立ててある。羊諸君の合意と協力さえあれば、明日にも実行できる計画だ!」
これがナポレオンの主張。
「私は、今のこの状況を打開できるだけの策がある。それは風車建設だ。ただし、私の案はナポレオンとは違う極めて現実的で合理的なものだ。まず羊の皆には一匹ずつ20%の毛を収めてもらい、これを人間界に売って、最適な設備を購入。これを用いて現状の改善を目指し、我らが追加で働くことで素晴らしい出来の風車を、数年かけて建設し、設置できるようになるのだ」
これがスノーボールの主張。
羊の皆様は、どちらの方に付いていきたいか…もうお決まりでしょう?
実のところ、2匹は内心で全く同じ計画を立てています。
…かなり雑な説明となりましたが、これが大体、ポピュリズムの技術と言われるものです。
大衆の感情に迎合し、支持を得る技術です。
気になったのであれば、詳しくは…まぁ自分で調べてください。
私の喩えが間違っている可能性もありますしね。
幾ら語られていないところがあろうと、大衆は夢のある方を望むんです。
…面白いですよね。
ご理解いただけたでしょうか。
お土産に、私が刈り取った白い羊毛でも要ります?
…あぁ…冗談ですよ。
私は手入れされていない羊の毛なんて触りたくもないですから。
そんなわけで、一定のポピュリズム的な扇動があった方が革命は効率的に起こせると私は考えている。
まぁ中核的思想はきっちりと作り込むのだけれど。
この作品はフィクションです。
私は思想家ではありませんし、政治学者でもありません。
…思想的な議論であるとかそういうのは嫌いですし、何より詳しくありません。
あくまでウーリャの主張であるので、その点はあしからず。
…ここまで読んでる人いる?




