91.奴隷
書いていて、思ったのですが。
人間同士で殺し合うのと、人外が人間を殺すのって、結構…心理的に差がありませんか?
ミオ視点
「リムリー…奴隷契約ってどうやるの?」
「奴隷契約?主従魔法のこと?」
本を読んでいたリムリーはパタリとそれを閉じ、そう聞き返してくる。
「多分それ」
「うーん…発動には神の仲介が要るのだけど、私を仲介者として今から儀式やる?」
顎に指を当てながら、リムリーはそう言う。
「うん。今、契約相手連れてくる」
ヴィナを連れて、リムリーのいる部屋へ戻る。
部屋に入ると、リムリーは何やら赤黒い魔法陣を空中に描いていた。
200年近く死神として事務作業をやっていたらしいので、こういうのは得意なのかもしれない。
「うっ…その子の手…大丈夫?」
ヴィナの包帯でぐるぐる巻きにしてある手を見て、そう言った。
リムリーには包帯の中身なんてお見通しらしい。
…拷問の話したっけ。
「リムリーって治療魔法とか使えないの?」
「うーん…そもそもそんなもの存在しないから…もし普通に対処するとすれば、一般流通している回復薬でもかけてあげれば少しマシになる…程度じゃない?」
「…そっか」
じゃあいっそ、裂けてる指なんかで一生を過ごすより手ごと切り落としてあげて、義手を用意すべきかな。
「あ…いや、主従魔法の副作用として、契約時の神の介入により魂の形に合った肉体の修復ができるわ。だからやめてあげて」
「わかった」
唯一、今の会話の意味が分からないヴィナは、空中の魔法陣を興味深げに眺めていた。
もっとも、その行動に意味があるのかは定かではないのだけれど。
「準備できたから、魔法陣の前に二人で並んで立って」
言われた通りにヴィナを連れて魔法陣の前に立つ。
「じゃあ…始めるわ」
リムリーはヴィナと私の手を持ち、何かを小声で唱える。
すると次第に周りが紅く光り始めた。
数分後、契約が終わったのか、リムリーは手を離した。
周りの光や魔法陣も消え、リムリーに握られていた手を確認すると、中指に小さな銀の指輪がはめられていた。
ヴィナの手の方を見ると銀のアームレットがはめられて…あれ?
ヴィナの手が小さくなっている…というか幼い?
ヴィナの身体、そして顔を確認すると、私より少し幼いくらいの身体と顔があった。
…もしかして精神を砕いちゃったせいで魂の形が変わって、それに合わせて肉体が修復されちゃったから若くなった?
「うーん…服がぶかぶか…?あ、手が治ってる!」
ヴィナは包帯を外し、手を動かす。
「……そんなことより……えへへっ…これでヴィナはミオ様の物…」
心底安心したようにヴィナはぶつぶつとそう言う。
…こうなった以上、ちゃんと責任取らないと。
とりあえず…ヴィナに肉体年齢相応の服と、食事を用意してあげるところから始めよう。




