84.距離感の近い神
「上手くいってるみたいね。距離感が近いのは少し問題かもだけれど」
イザベラが虚空からそう呟く。
まぁ…確かに。
目の前にはリビングのソファで契約した神と一緒にくつろぐレオとミオがいた。
レオと契約した女神…通称シズクはレオと同じ身長でありながら、かなりの甘えん坊らしく、ソファに座るレオに後ろから両手で絡みついて、何かを囁いている。
レオは気にする様子もなく読書をし、定期的に相槌を打ったり、何か言葉を返したりしている。
対してミオと契約した女神…通称リムリーは単純にミオとの距離感が近く、ソファの上でミオを膝枕して、ミオと何かを話していた。
ミオは楽しそうに笑っているので、普通の世間話の類いだろう。
…どちらも性格は合っているらしい。
良かった。
「当然よ。何せ私のキャスティングなんだから」
…いつもありがとう…イザベラ
「っ…今度スイーツでも奢りなさいよね」
わかった。
「レナ、良かったら手伝うよ」
キッチンで何やら奮闘しているらしいレナにそう声をかける。
「あ、お嬢様…久しぶりにレオさんとミオさんが帰ってきてくれたので、ケーキでも作ろうかと思いまして」
レナはそう言うと両手をあげて『頑張る』のジェスチャーをする。
「何よそれ!今すぐ行くわ!」
虚空から、そういうイザベラの声が聞こえてくる。
「…一緒にやろうか」
そう言って、キッチンに立つ。
「はいっ!」
レナは嬉しそうにそう言ってくれた。
その後、夕方になるまでレナと人間用ケーキ、人外用ケーキを作って、できあがったところでダイニングにレオとシズク、ミオとリムリー、そしてイザベラを呼ぶ。
それぞれに合ったケーキを切り分けて、お皿に盛り付けて、出す。
みんなでいただきますを言って、食べると、神様達はみんな感嘆の声をあげ始めた。
「っ…これ…甘い…!?」
「あー最高…」
「こんなのが…こんなのがあるんだっ…やばっ」
対して、ミオとレオは何か違和感を持ったような顔をしていた。
………もしかして
「…レオ、ミオ、そのケーキ…薄く感じる?」
「………ごめんソフィア姉…私…」
ミオがそう口を開く。
…薄く感じるらしい。
人外の味覚になってしまった…っぽい。
「大丈夫。今度はこっちのケーキを食べてみて」
「「わかった」」
ミオに加え、レオもそう応じる。
二人揃って、契約時に人外的な味覚を獲得してしまったのだろうか?
切り分けたケーキを、2人は同時に口に運ぶ。
「「美味しい…」」
2人の口は綻んだ。
…どうしよう。私のせいでレオとミオの味覚が人外化してしまった…
「ソフィア姉〜美味しいよ!レナさんも!作ってくれてありがと!」
「ありがとう」
気を使ってくれたのか、レオとミオがそう言ってくれた。
…本当に…優しい子達……




