81.エストブルク・マフィア
ミオ視点
10年後。
レオ・シヴグラード(17)
種族:人間
戸籍上:該当無し
噂:エストブルク・マフィアのボスの1人?
血を飲んでいる?
部下に優しく敵に厳しい…らしい。
部下からリーダーとして尊敬されている。
孤児に優しく、慈善活動をやっている…らしい。
ミオ・シヴグラード(17)
種族:人間
戸籍上:該当無し
噂:エストブルク・マフィアのボスの1人?
血を飲んでる?
植物魔法が使える…らしい。
部下からの信頼が厚い。
子供を虐める人間を酷く嫌悪しているらしい。
子供に甘い…?
「ねぇレオ」
兄か弟かも分からない姉弟…レオにそう話しかける。
「何?ミオ」
灰色のシャツに黒いスーツ、黒いネクタイを付けたレオは黒い革手袋を付けながら私にそう問い返してくる。
「ネクタイ余ってない?」
「また失くしたのかよ…いつも一本だけしか買わない癖に、『昂る』とすぐ外して捨ててるからだろ?自分で買えよ…」
苦笑しながらレオはそう言う。
…ここまではいつも通り。
「だって…魔法を使う時は呼吸が沢山要るの…」
「はぁ…なら緩めるだけで良くないか?まぁ…仕方ない。最後だぞ」
「やった。ありがとうレオお兄ちゃん〜♪」
そう言って、これで27本目になる『最後の』ネクタイを受け取る。
「ほら、さっさとネクタイ締めろよ。ソフィア姉さんに会いにいくんだろ?」
「でもさ〜なんで、いつも会いに行ってるのに、一緒にあの屋敷で住まないの?」
「仕方ないだろ。姉さんに迷惑はかけられない。俺達に戸籍は無いし、マフィアなんて呼ばれて…この街じゃ受け入れられてても、世間には疎まれてる」
「うーん…まあいいや。とりあえず、早く行こうよ」
「はいはい」
レオはポンと私の頭を撫で、そう言う。
屋敷に向かうべく街に出ると、色んな人が声をかけてくれた。
「ミオさんミオさん!この間はありがとね!新作、作ったから良かったら食べに来て!」
この人は優しいパン屋のおばさん。
この間、至急、子供を探して欲しいという依頼を受けて子供を探し出したら『命の恩人』なんて言ってくれて、親しい仲になった。
「レオ坊!欲しいと言ってた本、取り寄せといたから!後で寄っとくれー!」
「わかったよ!師匠ー!」
あの人はレオと仲の良い本屋の爺。
昔からの仲らしく、何故かレオはあの爺を『師匠』と呼んでる。
「ミオお姉ちゃん!おはよう!」
黒い髪の可愛らしいこの子は、エストブルク市長の娘さん。
以前、市長の依頼を受けた時に知り合って、私に懐き、よく私のところに来るようになった。
「おはよう。お父さんは元気?」
「元気だよ!今日もミオお姉ちゃんに負けないくらい頑張るって言ってた!」
「そっか。それなら私も頑張らないとだね」
そう言って黒い髪を優しく撫でる。
「うん!頑張って!」
私達はいつも喪服のような…黒いスーツを着ている。
噂だとそれは『いない親を悼んで』着ているとされている。
実際、部下の中にはそういう理由だと本当に信じて着ている人もいるんだと思う。
…しかし実のところ、ソフィア姉から『こんなファッションはどう?』なんて言われて着始めたのが始まり。
私達が着ていたのをだんだん周りが真似するようになって、今では部下は全員、黒い服…或いは暗い色合いのスーツを着るようになった。
…まぁ…別に格好良いからなんでも良いのだけれど。
「ソフィア姉〜」
「ソフィア姉さん」
屋敷に着いて、レオがノックをしてから扉を開ける。リビングを見るとソフィア姉がいた。
「うん?おかえり。レオ、ミオ」
やばっ…名前呼んでくれたっ…
「「ただいま」」
レオと同時に…弾んだ声でそんな言葉を発する。
…やはり姉弟とはそういうものなのだろうか。
「今日は二人にプレゼントがあるの」
えっ…なんだろう
「もしかして、私達も一緒に…」
不老に…?
「それは…まだかな。ごめんね」
そんなっ…謝らないで…
「二人に合った信仰契約を用意したの」
信仰契約?
「信仰契約?えっと…アレのこと?神聖ライヒの時代に皇帝が神と契約して、その能力を借りるとかいう…」
私より博識なレオはソフィア姉にそう聞く。
「そう。それ」
…つまり、ソフィア姉が選んでくれた神様と契約して、その力が使えるようになるってこと?
胸が躍る感覚がした。




