73.夜伽
メアリー…ミア視点
新しい戸籍を手に入れて、ミアと名乗ることになった。
ローザはロザ、オリビア様はリビアと名乗ることになった。
用意された屋敷は首都の…皇帝の別邸らしい。
構造上、ソフィア邸とそんなに変わらない。
「ミア、血…飲みたい…」
屋敷に来てから、私達には少し…妙な、夜の習慣ができた。
それは、二人で満足し合うまでベッドで互いに血を飲み合うこと。
…初めは人外として生きるということに対する不安感から…今では、ロザの望みに応じる形で、1週間に1、2回の頻度でやっている。
ロザは魔力循環が不安定なのか、週に一回くらい不安や恐怖で眠れなくなる夜があるらしく、そんな夜には私の血を飲み、一緒に寝ることでぐっすりと眠れるのだそう。
「わかった」
読んでいた本を閉じ、ふらふらとしていたロザを抱えて寝室に入る。
ベッドにゆっくり下ろしてあげると、ロザは私を両手でぐいっとベッドに引き込んで、服を脱がせ始めた。
…待ちきれないらしい。
静かな夜の中、明かりを消す暇も無く。
ロザは怯えを掻き消そうと…震える指で服を掴み、必死に私の身体に歯を埋め、血を求める。
私も、ロザの歯が自分の身体に突き立てられると同時に…理性を失ったようにロザの身体に噛み付いた。
激しく血を飲みあって…2時間ほど。
赤黒く濡れたシーツの上で、ロザは私にべったりと引っ付きながら、眠そうな声で
「明日は何しよっか…」
と言ってくる。
「…フレンチトーストでも作る?」
「そうだね…やることないし」
「…幸せだね…何もやらなくて良いなんて」
「…ふふっ…そうだね…全て投げ出して、ここまで…きて…」
ロザはうとうとし始めた。
ゆっくりと撫で、安心させる。
「…明日は一緒に本を読もっか」
「そう……しよ……」
「おやすみ。ロザ」
「おやす…み__」
ロザは寝息を立て始めた。
…私も…もうそろそろ寝よう…
明かりを消して、瞼を閉じた。
…瞼を開けると、目の前にロザの笑顔が咲いていた。
「おはよう、ミア!」
ロザは朝から元気らしく、元気そうな声でそう言った。
「…おはよう…ロザ」
そう返す。
「材料の準備できてるから、フレンチトースト…一緒に作ろ?」
「…わかった」
…まずは服を着ないと。
「オリビア様!フレンチトースト用意したよ!」
ロザは元気にそう言い、リビングにいるオリビア様の前にフレンチトーストを出した。
「やった。ありがと」
新聞を読んでいたオリビアは顔をあげて、ロザにそう答える。
「じゃあ、みんなで食べよっか」
私はそう言う。
リビングにフレンチトーストを3皿。
「いただきます!」
元気なロザはそう言う。
「いただきます」
オリビア様はそう続く。
「…いただきます」
私はそれに続き、いつもより美味しく感じるフレンチトーストをゆっくりと食べ始めた。
…どうでしょう?
あんまりこういうの得意じゃないのですが。




