71.不老帝
「…不老不死にさせるにあたって、条件を設けたい」
「どんな?」
「二人と一柱を保護して欲しいの」
「一…柱?神様のこと?」
そう言い、皇帝は小首を傾げる。
「そう。神様のこと。で、二人は人外」
皇帝が指示すれば、メアリーとローザ…そしてオリビアは新しい戸籍くらい得られるだろう。
あわよくば、首都で新しい生活を始められるだろうか。
「そのくらいなら良いよ。現状私、家族いないし」
少し寂しそうに皇帝はそう言った。
「…わかった。じゃあ今から貴女を不老不死にするから…とりあえず目を閉じて」
そう言うと皇帝は大人しく従った。
…本当に皇帝を不老不死にしてしまって良いのだろうか。
…まぁ…大丈夫だろう。これまで独りで皇帝という大役を務めてきたわけだし。
皇帝の首筋にサッと噛み付いて、吸血鬼にする。
開かれた赤い目はさっきよりも輝いて見えた。
…自分の服をはだけさせて、皇帝に噛み付かせる。
皇帝は大人しく従って、カプリと噛み付き、血を飲み始めた。
そのうち、血を飲む勢いが衰え始め、一分ほど経つと寝息を立て始めた。
…しばらく寝かせてあげよう。
ベッドにそっと寝かせて、上からシーツをかけてあげた。
椅子は…どこにあるだろうか。
寝ている皇帝を見ていると、ショートヘアの金髪には赤黒い毛が混じりはじめて、肌が白めになっていくのが見れた。
30分ほどで皇帝は起き、大きく伸びをした。
「おはよう」
「おは…よう?」
皇帝はそう言う。
…混乱しているのだろうか?
「体調はどう?」
そう聞くと、
「…元気」
右手を開いたり閉じたりしながら皇帝はそう答える。
「変なところはない?」
そう聞くと、
「大丈夫…」
普通に皇帝はそう答えた。
「じゃあ…できたよ。不老不死に」
そう言うと、
「なんだか…呆気ない」
皇帝はそう言ってきた。
「変に壮大な儀式をやるより、これくらいの方が良いでしょ?」
そう返すと、
「そうかも…」
と皇帝は答えた。
「そういえば…名前は?」
今更ながら皇帝の名前を聞く。
「………ラディナ」
「じゃあ、ラディナ…これからよろしく」
そう言ってラディナの頭をワシャワシャと撫でると、ラディナは笑った。
「___ということで、メアリーとローザ、あと希望するならオリビアにも新しい戸籍が与えられることになったから」
そう言い終わると同時に、イザベラが飛び込んできて、胸ぐらを掴んでぶんぶん振り回してきた。
「あんたね!なんで皇帝を不老不死にしちゃうわけ!そういうのは良くないって最初言ったわよね!?」
イザベラがそう言ってくる。
「でも…ラディナ自身の望みだし…」
「望まれたらなんでもするってどれだけお人好しなのよ!この馬鹿!」
「…ごめんなさい」
「…なんで謝るの……もっと言い訳しなさいよ!どうせ私にはまだ話していないような複雑な話があるんでしょ!」
「でも…イザベラが言ってることも正しいし…」
「うぐぐ…もういいわよ!許すわ!だからその皇帝の面倒はちゃんと見るのよ?わかった!?」
「…はーい」
そんなこんなで、オリビアとメアリーとローザは新しい戸籍を得て、首都へ向かった。




