66.人外とファストフード
思ったんだけど…
「何?また発明?」
神様…イザベラが憂鬱そうに頬杖をついて言う。
時刻は朝4時。私とイザベラ以外まだ誰もリビングにいない。
「人外って基本的に栄養とか関係なく、味がどれだけ美味しいかが大事じゃない?」
「そうね。食事は娯楽に近いわ」
「なら、労力を極限まで絞って、雑に作れて雑に美味しい…ファストフードみたいな料理が一番合理的じゃない?」
「…………そうね。確かに」
「だから、みんな作れて、みんな楽しめる味を開発してみようかなって」
「………普通に気になるわソレ。早くやりなさい」
とりあえず実験してみることにした。
そもそも回復薬等のポーション系の食材は、口の中に入れると溶けていく性質があり、これを有効活用すれば良いのだと思いついた。
小麦粉と回復薬、匂い付けのベリー、そして水。
雑に混ぜて、捏ねて、焼くと、硬めのパンもどきができた。
イザベラに食べさせると
「甘ぁ…口に入れるとホロホロって溶けていって美味しい…」
と言っていたのでおそらく成功。
混ぜて、捏ねて、焼くだけなんて簡単。
次はスープを作ることにする。
収納に入れていた生物の肉をボトリと投入し、身体強化薬と、水中呼吸薬を入れて、水を加え、匂い付けのハーブを入れる。
後は温めれば終わり。
水中呼吸薬は塩の味を再現出来るので、スープ系には欠かせない。
イザベラに飲ませると
「あったか〜…ふわぁ…幸せ……」
なんて言っていたので、多分成功。
最後に刺身でも作ろうと思う。
生物の肉を使った切り身を用意して、盛り付けて…
血をベースとして、水中呼吸薬と回復薬を適度に混ぜて、味を再現。最後にペースト状にした身体強化薬をわさび代わりに用意し、小皿に盛り付けて醤油とわさびもちゃんと再現。
イザベラは
「な、何この料理…!こんなの反則じゃない!」
そう言いつつたくさん食べていたので、恐らく良い感じ。
私もひとつまみすると、マグロの刺身を思い出すような味わいが口に広がって、少し懐かしい気持ちになった。
その後、オリビアが起きてきたので、オリビアにも食べさせてみると、目を輝かせながら黙々と食べ進め始めて、あっという間に食べ終わった。
オリビアは美味しいものを目の前にすると、口に出して感嘆の声をあげるのではなく、黙々と食べ、噛み締めるらしい。
…私に似てる。
「友達とかに教えたいからレシピ教えてよ〜」
食べ終わったオリビアがそう声をかけてくる。
「良いよ」
別に隠すようなものでもないし。
「わ、私にも教えて」
イザベラもそう言ってくる。
「良いよ」
別に教えたところで減るものでもないし。
時刻はまだ5時30分、子供たちもレナもメアリーもローザも…誰もまだ起きていない時刻のことであった。




