59.オリビアに誘われて
「ねぇソフィア、なんだか面白そうなこと起こってるから、シュタウフェンベルク上級大将のところ行かない?」
新聞を見ていたオリビアが顔を上げて、そう誘ってくる。
「良いよ」
今日は特に予定無いし。
オリビアの縮地魔法を使ってシュタウフェンベルク邸内に瞬間移動。
目の前には私服姿のシュタウフェンベルク上級大将がいた…と言っても上級大将は反対を向いているので目は合っていないし、こちらが一方的に認知しているだけだけれど。
上級大将はソファに腰掛けて、リビングで妻らしき人間と、娘らしき子供と共に団欒していた。
「閣下、遊びに来ました」
そうオリビアが意気揚々と言う。
「ん?…………ん??あ〜…何故ここに居る?」
振り向いた上級大将の顔は疑問符で埋め尽くされていた。
「あー…魔法です」
私がそう言う。
嘘では無い。
「なるほど…で、何故来た?見ての通り軟禁中なんだが」
上級大将はそう言い、わざとらしく両手を振って見せた。
…軟禁?
「それは勿論、閣下とご家族が安全に住める地へ逃げるための援護をするためですよ」
オリビアもわざとらしく身振り手振りしながら、そう答える。
…そうなんだ?
話に置いてかれている私は、上級大将の娘さんにコインを出す魔法をやって見せていた。年齢は5歳くらいだろうか。目元が上級大将に似ている。
コインを出して、指の上で回して見せると、娘は目を輝かせた。
「お姉ちゃんこれどうやったの!もう一回!もう一回!」
「わかった」
もう一度やってみせる。
「すごい!もう一回!」
「わかった」
もう一度やってみせる。
「すごい!すごい!」
「ほら、あげる」
そう言って、出した3枚のコインを渡した。
「やった!」
…子供と接するのが得意になってきたかもしれない。
オリビアとシュタウフェンベルク上級大将の話が終わったようで、全員で脱出することになった。
…この人数で縮地魔法は無理らしく、ここから強行脱出するらしい。私は外にいる監視兵を排除する役になのだそう。
まぁ…やれと言われたらやるのだけれど。
正門を開けて、外に出たら番兵が二人いた。
二人とも制服のボタンを開けて、煙草を吸い、話しているようで、こちらを見てもいなかった。
………漂う煙草の匂いを嗅いでいると…何かが蘇ってくる気がする____
誰かの怒鳴り声…
誰かの泣き声…
飢え…
小さな自分…
……………どうしてこんな思いをしないといけないの?
___何故か番兵二人を惨殺してしまった。
上級大将の娘には見せられないのでさっさと収納に放り込んでおく。
その後、遭遇した番兵は、殺してしまうことなく気絶で済ませることができた。
上級大将一家を、敵から奪った馬車に乗せて、とりあえずエストブルクを目指す。
…長い旅が始まりそう。




