54.ローザの修行
メアリー視点
最近、ローザは元気である。
レナさんの料理を積極的に手伝ったり、私を連れて、魔法を練習するためにエストブルク近郊の森林地帯に向かったり…ローザは飛行魔法のコツを掴んだらしい。
いわく、箒などの上に乗った状態で空気を制御することで空気にそのまま乗った場合の『バランスボールに乗っている感覚』を減らせるのだそう。
イザベラ様によれば、箒などの重量が想像しやすいものに腰を預けながら空気の制御をするので、メンタル面で安定した状態を維持でき、結果的に飛べている…らしい。
ローザの成長はすさまじいもので、私を抱えた状態で飛び回ることすらしてみせた。
「どう?すごいでしょ。今度こそメアリーに守られてばかりの足手まといにはならないんだから!」
そんなことをローザは言う。
「足手まといじゃないよ…毎日ご飯を作ってくれて、面倒を見てくれて…寧ろ私が守られてたくらい」
そんな風に思っていたことを言ったら、ローザは赤面して顔を伏せてしまった。
「と…とりあえず…私も強くなる」
「そっか…一緒に頑張ろう」
そう言ってローザの頭を撫でる。
「…へぇっ?な、撫でられた?」
…あれ?なんで撫でたの?私。
今まで人を撫でたことなんて無かったのに。
「…アイツの血を飲むと人格や行動までアイツに似るのね」
イザベラ様はそんな風に呟く。原因がわかっているらしかった。
今日はローザと銃杖の扱い方について学ぶことになった。
斥候隊から受け取った銃杖はそれなりに重く…そして強力そうだった。
「アイツ特製の魔改造品よ」
イザベラ様からそう言われる。
…なるほど?
イザベラ様に見てもらい、撃ち方や構え方などを習う。ローザに対しては私を通して指導する形となった。
恥ずかしいことに、ノイエ王国にて一日で覚えた銃杖の撃ち方は既に100年ほど古いやり方だったらしく、きっちり現代における撃ち方を習った。
何回かの実射訓練で精度を高める。
まだ日が落ちるまで時間があったので、ローザから飛行魔法について習う。
まずは乗る箒について形状や重量を頭に叩き込むところから始まった。
次に空気を操るイメージの練習。
そして最後に実習。
3時間ほどで乗れるようになった。
ローザはとても教えるのが上手い。
大事なところは分かりやすく、どうでも良いところはササッと終わらせて、分からないところがないか逐一聞いてくれる。
「教えるの、本当に上手いね」
練習が終わった後、ローザにそんな風に言う。
「え…えへへ…でしょ…」
ローザは照れたような顔でそう言う。
…教師でも向いているのではないだろうか。
屋敷へ帰る途上…そんな風に思った。




