53.兵器開発②
『新聞ツィタデレ
オストヘルム共和国誕生!
___日、シュトゥルム将軍を臨時大統領とする__ライヒ系オストヘルム人を中心とした民主主義の共和制国家であり_____これに対し叛乱軍は公然とこれを批判_しかしながら、リヴォニア共和国やアメリア合衆国等、民主主義的な共和制国家__そのため、この批判は的外れとしか言いようがない___アドラー軍団は"引き続き、ライヒ系オストヘルム人保護のための義勇的戦闘行動を継続し、もって叛乱軍の黒幕を討ち取ることによってオストヘルム国民の安定した日常を取り戻す"としており、無能で野蛮な叛乱軍ももうすぐいなくなる___とされている___』
エストブルク近郊の森林地帯。
「じゃあ始めよっか〜」
今日はここでオリビアと『使い捨ての擲弾発射器』を作るための実験をやるのである。
とりあえず最初は、擲弾部分として運用する魔術合金の爆発性能について研究することになった。
そもそも何故、魔術合金を爆発物として運用することになったのか。
それは私がS級ダンジョンを攻略した際に用いた『銃杖爆弾』をオリビアに話したことがきっかけだった。
『合金は魔石より許容量少ないだろうから…前もって魔力をそれくらいの量含ませた状態で、鉄か何かで覆って、それ経由で魔力を送り込む。そしてそれを投擲すれば、鉄を浸透し、合金部分に時間差で魔力を送り込めて、結果的に爆弾として運用できるのでは?』と提案され、せっかくなら実験してみようという運びになったのである。
とりあえず、15%合金でできた野球のボールサイズの球体を用意し、爆発させられるか試す。
私もオリビアも、爆発程度では少しのダメージにもならないので、もちろん防護措置も何もしていない。
魔力を送ると爆発…というより小さめの暴発が起きた。合金は粉々になったものの、あまり飛び散らない。
次は26%で行くことにした。
今度はかなりの爆発が起こった。青い爆炎と、合金片が四散する。
密集状態の歩兵には極めて有効だろう。
「いや〜こんな威力が出るなんて」
そう言うオリビアの服は真っ黒で、殆ど焦げ落ちていた。
「…保護魔法忘れてた」
「まぁ、誰も見てないし良いでしょ。これくらいの威力だと投擲した側もやられそう」
「…鉄で覆うんだし威力はこれくらいが良いかな。擲弾発射器って、どうせ近距離で使う兵器でも無いだろうし」
とりあえず次は、これに被せる鉄の厚さを決めることにした。
数度の研究の結果、4秒で爆発して、かつ破片が良い感じに散らばる…ちょうど良い厚さが見つかったので、その厚さにする。
投擲には向かない大きさにはなったけれど、どうせ発射するだけのものなので気にしない。
次は発射器の研究である。
この発射噐は擲弾に魔力を送り込みつつ、高速で射出できるような構造でなければならない。
「普通に火薬を使えば?」
オリビアがそう提案してくる。
「……………その手があったか」
火薬で射出し、魔力爆発で敵を殲滅…合理的である。
ただの鉄製の筒に火薬を詰め、魔力伝導用の合金配線を擲弾に向けて這わせた後、簡単な照準器と手で押し込むタイプの大きめなトリガーを付け、試射する。
発射時に後方へ発射ガスを逃がす機構にしており、作用・反作用の法則を利用しているため、威力は減るものの発射反動はあまりないといった物に仕上がった。
……魔力伝導のタイミングが絶妙。トリガーに手を付け、魔力を送り込んでからトリガーを押し込む必要がある。
私はできたものの、オリビアには難しいらしかった。
そのため前もって発射器側に魔力を保存しておき、引き金を押し込むことで結線されて魔力を送り込める機構に改造した。
これにより…結果的に魔法を扱えない一般市民でも容易に運用できる兵器となった。
ただ、この兵器にも欠点があり、それは後方に発射ガスを逃がす機構のせいで、少し使える場所が限られてくるという点である。
まぁ、それを除けば完璧なのだけれど。
「名前を決めましょう」
オリビアはそう言ってくる。
「………『パンツァーファウスト』なんてどうかな」
「良いわね!よろしくパンツァーファウストちゃん」
そう言ってオリビアは試作品に頬擦りをする。
その後、二人で報告書を纏めて上級大将へ送った。
…今日の夕食は何だろう。




