52.オリビアの後継者
「ソ〜フィアちゃん!遊びましょ」
事務室で働いているとオリビアが押しかけてきた。
…なんでいつも通りの感じで話しかけて来ず、生身の身体を持ってきて、わざわざ押しかけて来たのだろう。
「話をするだけだと遊びにはならないでしょ?」
それは…そうかも。
『遊び』のためにエストブルク近郊の森に来た。
「早速、試射させてくれない?シヴグラード式重銃杖ってやつ」
「はい」
報告書に同封していた設計図そのままなモデルの物を収納から取り出して、オリビアに渡す。
オリビアはそれを受け取ると、愛しそうに頬擦りしたり、照準器を見たり、合金部分を指でなぞったりし始めた。
…銃杖が好きなのだろうか。
「こんな芸術品を間近で見られるなんて機会、滅多にないもの」
そうなんだ…?
「流石…私の後継者。撃ってみても良い?」
「良いよ」
オリビアは銃杖を構え、木に向かって一発撃った。
「ん〜堪らない…この感覚。もっと撃って良い?」
「別に良いけど」
また木に発砲。
もう一度、木に発砲。
振動によりその木から舞い落ちた葉に発砲。
全て対象のど真ん中に命中させる。
…相当、上手いらしい。
「貴女もやってみてよ」
そうグイっと銃杖を押し付けてくる。
言われた通りに木へ発砲。
舞い落ちる葉に発砲。
精度はオリビアより悪く、中心部に命中させられなかったものの、全てに2発ずつ撃ち込み、全て命中させた。
「銃杖を連射できるのね…普通は一発ごとの魔力の制御乱れを修正する時間が要るからどんなに魔力があろうと連射は難しいはずだけれど…貴女かなり魔力供給の感覚が分かっているというか…制御上手いわね?」
…そうなんだ?
その後、血液魔法の活用についてオリビアから沢山の質問を受けたので、一つ一つ答えた。
飛行魔法や収納魔法の活用法を話した時なんかは、オリビアは驚きながらも笑っていた。
…こんなに会話が長いのなら別に生身の身体で来る必要無かったのでは。
「だから、それだと遊びじゃないじゃん?」
…なるほど?
その後、軍事技術についての話をしながら屋敷に帰る。
その時に話した技術の内容は『使い捨ての擲弾発射器』と『自転車』で、2人の結論は『合金を使った"使い捨ての擲弾発射器"を装備した自転車部隊』が極めて有用な対歩兵戦力となりうる…という感じだった。
自転車は馬より安価で、維持費がかからない上に機動力確保に有用。
使い捨ての擲弾発射器は徹底的な設計簡略化を施すことで銃杖よりも効率的に、安価に火力を叩き出せるため火力の確保に有用。
オリビアが滞在している間にこれらに関する論文を一緒に書き、統合参謀本部に送り付けることになった。
「「おかえり!お姉ちゃん!」」
屋敷に帰るとレオとミオが迎えてくれた。
「ただいま」
そう言いながら、向かってくる2人を胸に抱く。
「可愛らしいお子さんね」
そうオリビアが私に囁く。
「誰?」
と、レオ。
「お姉ちゃんのお友達?」
と、ミオ。
「そうよ」
と、オリビア。
…いや、友達………友達?
まぁいいや。
夕食は子供達の好きなボロネーゼで、食卓には新しく3人……2人と1柱?が加わった。
新しく加わった2人と1柱には人間向けのボロネーゼは不評なようなので、子供達が寝た後に人外向けのデザートでも用意しようと思う。
…とりあえず今は、レオとミオが優先である。




