51.吸血鬼の魔法
メアリー視点。
「吸血鬼は人間と血蛆系存在の混血扱いだから、血蛆系が持つ固有の血液魔法が使えるわ。まぁ…あくまで混血種に過ぎないから、下位互換に近いのだけど」
イザベラ様からそんな風に魔法について教えてもらう。
ローザはまだ寝ているので、起きたら私から教えようと思う。
…ところで、血液魔法って氷魔法と合わせることはできるのだろうか。
「…考えるに留めるという点でアイツよりマシね。まぁ、それについては自分で研究して頂戴。私にはそういう知識はないから」
…?分かりました。
「で、血液魔法の活用方法についてなのだけれどアイツが研究したところによると___
イザベラ様の講義はかなり実用的で、学びになった。
特に血液魔法を活用しての飛行魔法や、空気を利用した防郭魔法なんて、考えもしなかった。
とりあえずエストブルク近郊の森林地帯でローザと血液魔法の練習をすることにした。
「空を飛べるようになるの?」
「…らしいよ」
「うーん…メアリーが先にやってみて!」
「分かった」
言われた通りに、空気を操るイメージを頭に浮かべて、空を飛ぼうとする。
…飛べない。少しふわりとする感覚はあるものの、飛べない。
「…まぁ、普通はそんな感じよね。空気内に魔力を送り込みつつ、操り、バランスを取りながら魔力制御をする…実際飛んでみると、バランスボールに乗っている感覚?に近いらしいわ。ゆっくり練習していけば、そのうち飛べるようになるわ…………………アイツ、本当にとんでもないのね」
イザベラ様がそんな風に呟く。
ローザもやってみるものの、やはり飛ぶことはできなかった。
…もしかして魔力不足?
「そんなことはないはずよ。アイツの血を飲んだアンタ達の魔力は、普通の人間とは比べ物にならないわけで、その点は安心すれば良いわ」
なるほど。
次は防郭魔法を試すことにした。
…やはり難しい。特に、圧縮?という行為があまり上手くいかない。
「…圧縮も大変なのね…そりゃあそうよね…」
イザベラ様はそう呟く。
…ここで氷魔法を活用できないだろうか。
空気中に微細な氷を大量に出し、それを媒介として、防郭を作る。
「………アイツを真似れるのね…すごいわ…」
イザベラ様がそう感嘆の声を上げる。
実験してみたところ、ちゃんとガッシリとしたシールドのようで、斥候隊の持っていた銃杖で撃たれてもビクともしない。
もっとも、銃杖以上の…例えば重砲なんかの攻撃を受けたらどうなるのかは、わからなかった。
私が防郭魔法を実験している間、ローザは飛行魔法を引き続き練習していた。
ローザはバランス感覚が良いのか、少しだけ浮けるようになったようで、イザベラ様が驚いていた。
…吸血鬼になってから、何故か頭が妙に冴えている…というか、思考力と適応力が上がっている気がする。
「…………あ、そういえばそんな効果もあったわね…アイツの血」
ため息をつきながらイザベラ様はそう言った。




