5.村へ
「もう、さっさと人間のいる村に行ったら?」
「どこ?」
「ナビするから向かってちょうだい」
「はーい」
「ここが『ノネトリ村』よ」
「とりあえず身分が欲しい」
「そういえば名前決めてなかったわね」
「この世界だとどんな名前が良いの?」
「そうね…あんたみたいなのだと『ソフィア』かしら」
「姓は?」
「うーん『シヴグラード』かしらね」
「『私、ソフィア・シヴグラードと申します。両親の熱い期待と、経験を積むべきという個人的な考えから屋敷を出て、1年ほどの旅をしておりまして、その一環としてここがどんな村なのか知りたいのです。良ければ、教えて下さいますか?』」
「うえっ…もう人間じゃん…」
「身分証明書はないし、そこは上手く立ち回らないと」
収納から取り出したシスターのポーチを肩からかけて、村へ進み始める。
「どうせあんたなら上手くやるでしょ」
雰囲気を令嬢っぽく切り替えて、村に入る。
まず目に付いた『ギルド』に行くことにした。
「あ、普通の人間には私の声聞こえないから」
もし応答するなら心の中でってことね。
「そういうこと」
ノックを4回して、力弱そうにゆっくり両手で扉を開ける。
ひょこっと顔を出して
「お、お邪魔します」
と言葉を吐く。
「いらっしゃいませ」
いたのは栗色の髪をした女だった。
他には誰もいないらしく、静かだった。
血色が良くて美味しそう。顔も良いし。
…というか、もしかしてここで簡単な戸籍なら手に入るのでは
「その…!冒険者になりたいのですが」
「はい、登録ですね。わかりました」
「あんた、ギルド登録といえば身分証要るわよ?」
やば、無いじゃん。
「策ならあるわよ。女に吸血しなさい」
吸血だけで良いの?
「吸血と同時に同量の魔力を送り込みながら、念じなさい。あんたにメロメロにでもなるように」
わかった。
「では、身分証の方を」
「わかりました!」
そう言って、何も入ってないポーチをガサゴソとしながら、距離を詰める。
登録のためか女が後ろを向いたので、その隙にパッと女の口を抑え、胸元を掴んで首筋に噛みつき血を吸う。
えーっと、『私の言うことにはなんでも従う』よし。
相手の身体の中で前自分の身体でやったのと同じような循環をさせる。上手くいってそうだったので両手と唇を相手から離した。
すると相手はビクビクと痙攣しながらへたりこんだ。
「ご馳走様」
濃厚な甘い人間の血液が飲めて少し疲労感が無くなった。
「初めてでこんな上手くやるとか、相変わらずやば」
「はい!登録ですね。ランクどうしますか」
「どんなランクがあるの?」
「S,A,B,C,D,Eです」
「じゃあB」
「かしこまりましたお嬢様!」
人間1人堕とすだけで戸籍手に入るって面白。
「普通人間にものすごく似た人外なんて、そんないないのよ」
でも操る魔法とか…
「ここまで精巧に、身も心も従順にさせる魔法は存在しないわ」
なるほど?
「今日泊めてよ」
女にそう言う。
「もちろんです!」
「ありがと。そういえば名前なんて言うの?」
「レナです!」
「そっかレナ。これからよろしくね」
そう言ってレナを撫でる。
「はい!」
「恐ろし…」




