49.ソフィアとメアリー
メアリーという人間が訪ねてきた。
金髪碧眼で、人間としてはかなり整った顔だと感じた。
連れているのは茶髪の女で、メアリーと同じくらいの年齢だとパッと見で分かる。
「貴女が?」
「はい。オリビア様の…」
「入って」
「ありがとうございます」
…人間にしては、なんとも落ち着いている。
「実は私、転生者でして」
「奇遇。私もだよ」
社交辞令的にそんな言葉を交わしながらリビングに通す。
そんな会話を茶髪の女は訝しげに聞いていた。
もしかしてこちらの人間は転生を知らないのだろうか。
とりあえずレナに紅茶を用意してもらう。
…実のところこの間にも私…いや、私達?には声が聴こえ続けていた。
それはそれぞれの神様達の痴話喧嘩のようなものだった。
「やってる〜?イザベラ」
「その名前で呼ばないでって言ってるでしょ」
「ごめんごめーん」
「そもそもアンタ、唐突に連絡してきて、いきなりこれ…ってどうかしてるわよ!」
「でも______
こんな会話を聞いていたら日が暮れてしまう気がする。
「それで、吸血鬼にして欲しいんだっけ」
「…そうですね」
「2人とも?」
「「はい」」
メアリーと茶髪の女の声が揃う。
「じゃあ、早速やろうか」
先にメアリーの首筋を噛み、レナにかつてやったのと同じ感じで魔力を循環させる。
無論、変な指示は送らない。
歯を肌から離すとメアリーはピクリと動き、へたり込んで過呼吸気味に呼吸を始めた。
「上手くいったようね」
「流石ベラが付いてるだけ_「略してもダメよ」
そんな風に神様達が言う。
同じように茶髪の女にも噛み付く。
こちらも同じ反応だったので多分成功したのだろう。
「じゃ、2人に血をあげて」
オリビアにそう言われる。
そんな話聞いてない…けどまぁいいや。
効率重視で2人を両腕に抱いて、血を飲ませた。
そんな状況でレナがリビングに来る。
「お嬢様。お…茶……へ?…お…お嬢様!?」
ガシャンと運んできた紅茶を落とす。
「大丈夫。血を飲ませてるだけだから」
「…えっでも…あ…え?」
「大丈夫」
「…お嬢様がそう言うのなら…わかりました…」
レナは頭に疑問符を浮かべながらも割れたコップを片付けるために箒を取りに行った。
結果的に吸血も上手くいったようで、2人は魔力供給過多で眠りについた。
メアリーの金髪には赤の髪が混じり、茶髪の女は赤い髪になった。全員が全員赤髪になる訳ではないらしい?
「保有魔力の差によるものね。メアリーは元々魔力が多めだったから」
…なるほど。
とりあえず私の寝室のベッドに運び、経過観察をすることになった。




