48.大混乱
シュタウフェンベルク上級大将が乗り込んできた。
「中佐!なんだねこれは」
「…?」
手に握られていたのは最近出したばかりの私の報告書。
「報告書ですが…」
「そんなことは分かっている。内容の話だ!」
「…銃杖の改良に合金を用いるというだけの話ですが」
「そうだ。そこだ」
「…?」
何かおかしいところが?
「………もういい。とりあえずだ、中佐。この魔術兵器史をひっくり返すような報告書を国民軍は全面採用することとなった。シヴグラード式重銃杖という名で採用するが良いな?」
「はい」
「一応言っておくが、この合金技術はこれからのあらゆる魔導機械に活用されうる性質を持っている」
「それは…良いことでは無いのですか?」
「………………………はぁ…そうだな」
翌日。
『新聞ツィタデレ
シヴグラード式重銃杖の誕生!
国民軍は___最新技術として魔術合金を__しかしながら詳細な情報は明かされてお__アドラー軍団へ先行生産された___"シヴグラード"は国民軍第23旅団__ソフィア・シヴグラード旅団長の名前から___』
なんか報道されてる。
…確かにプロパガンダには有用な技術と言えるかもしれない。
「いや、普通にやばいからそのままの通り報道してるだけよ」
うーん?
「これは…ライヒが世界を制する可能性すらあるわね」
…なんで?
「防郭魔法や収納魔法…そして合金技術を並行に開発して、その全てが良い方向に行ってる。防郭魔法は魔術騎兵の突撃戦術や拠点の防衛力に大きな影響を、収納魔法は既存兵站概念の破壊を、合金技術は魔術兵器技術の爆発的な発展を生む」
つまりこの3つの魔法を他国より先んじて実用化してしまえばライヒが世界一になると?
「特に収納魔法なんかは、兵站をある程度気にせずに侵攻できるということは戦略縦深の概念がひっくり返るわけで、魔術騎兵の機動性は上がるし、全体として兵站を大幅に簡略化できて、戦争の距離そのものが変わるわ」
…?そうなんだ。
報告書の件が原因かは分からないけれど、何故か給料が上がったので商店街にみんなで買い物に行こうと思った。
ミオとレオには年相応の服を事前に用意したので、それを着せる。
商店街には色々なものがあり、私には特に欲しいものも無かったので、3人それぞれの要望を聞きつつ何となく回ることにした。
ミオはみんなでクレープを食べたいとクレープ屋に。
レオは本を買いたいと古書店へ。
レナはみんなで服を買おう、と服屋へ。
かさばるものは人形達を呼び、屋敷へ輸送させる。
クレープは食べても何も感じなかったけれど、ミオとレオが美味しそうに食べていたのでそれで良し。
本屋には大して興味をそそられる本も無かったけど、ミオとレオの好きな傾向の本を知れたので良し。ちなみにミオは植物図鑑、レオは英雄物語を買っていた。
服屋ではレナの着せ替え人形にされていただけだけど、レナが満足してくれたようなので良し。
一般的な家族の感覚が少し分かった気がした。




