44.収納魔法研究
「では、今日の実験の方始めさせていただきます」
首都ブルリアに行ってから1ヶ月、私はいつも通りの日常を送りつつ、国民軍の研究に協力していた。
「はい」
担当の技術将校にそう応じる。
「今日は収納魔法で収納する物の大きさが、収納時に使用する魔力と何らかの因果関係にあるか…についての実験です。中佐には質量が同じ大小2つの魔力絶縁性物体を収納してもらいます。中佐はいつも通り、収納に際しての感覚や気分等、少しでも気づいたことがあれば教えてください」
「はい___
実のところ、私はこの研究で何も気づいたことはないし、何も本当のことを言っていない。
本当のことを言ったら人外とバレると神様に言われたからである。
なので、神様を通じて収納魔法についての設定上のあれこれを知った上で、それっぽい…人間ならこう言うだろうという嘘を吐き続けている。
こちらは人外だとバレないし、あちらは収納魔法について人間の尺度で理解を深められる。
___2時間ほど実験した後、結論が出たらしく、担当の技術将校は忙しなくペンを走らせ始めた。
「なるほど…大きさは関係ない…と…なら前回の結果と合わせて質量が主な___」
…そんな感じのどうでも良い独り言を言いながら私を置いてきぼりにする。多分、この人間の欠点なのだろう。
「あの、帰って良いですか」
「ええ、今日もありがとうございました。また明後日に実験を行いますので…」
「わかりました」
そう言ってスタスタと帰路に着く。
「「おかえりー!」」
帰るとミオとレオが抱きついて来てくれた。
「ただいま。今日も一緒にお風呂入りたいの?」
「「うん!!」」
最近2人との段々距離感が縮まってきている。
理由は恐らく…長く家族と会っていないせいだと思う。
2人はお風呂に浸かりながら、私に色んな話をする。『今日綺麗な花を見つけた』とか、『○○くんと喧嘩した』とか…ミオは植物の話を、レオは友人との話をする傾向があるようで、神様によると恐らく得意魔法が関係しているのだそう。
魔力波形がどうとか、流し込むにあたっての魂の形がどうとか。理屈は理解したけれど、正直どうでも良い話だった。
今日の夕食はレナと私で作った。
その間、子供達はトランプでポーカーをやっていた。
ポーカーもトランプも私が教え、用意したもので、子供達はハマったのかはしゃぎながらそれをやっている。
今日作った料理はポトフだった。
…レオとミオは微妙な顔をしていて、もしかすると味が薄かったのかもしれない。
ただ、私にはじゃがいもの風味やプリっとしたウインナーの食感が美味しく感じられた。
明日はレオとミオが好きなボロネーゼでも作ってあげようと思う。




