42.出頭命令
エストブルクの四倍ほど大きな都市、ブルリア。
ライヒの帝都であるその都市を、私は今見下ろしている。
パッと見て一番目に付くのは、宮殿らしき白い大きな建物だった。
誰にも見られないように近くの森にサッと降下。
「すみません。統合参謀本部への出頭命令によりここまで来たのですが、統合参謀本部の場所がなんとも分からなくて…良ければ教えていただけますか?」
そこら辺の人間に、微笑みながらそんな風に聞いていく。
そんなこんなで統合参謀本部が設置されているとされる、大きめの建物に着いた。
5階建て、ガラス張りの黒い建物。
受付へ行き、
「シュタウフェンベルク上級大将閣下からの出頭命令で参りました」
と、貰った出頭命令の書類を出す。
「5階の国民軍総司令官執務室にてお待ちです」
と返されたので、感謝を伝え、5階に向かう。
国民軍総司令官執務室を見つけ、ノックを4回。
「ソフィア・シヴグラード中佐です。閣下の出頭命令により馳せ参じました」
「よし。入ってくれ」
そう言われたので、部屋の中に入る。
中は木や銅といった素材で構成されていて、茶色を基調とした落ち着いた雰囲気のする部屋だった。
シュタウフェンベルク上級大将は、沢山の書類が積み上げられた執務机の前に立って、歓迎の意を示すために両手を広げるポーズをした。
「ようこそ」
上級大将はそう言い、私を迎える。
「何故、私は呼ばれたのでしょう」
「うーむ…話すと長くなるな…まあなんだ、掛けてくれ」
歩きながら、身振り手振りを交えつつ、私にそう言う。
「はい」
と素直に応じ、秘書さんがコーヒーを出してくれたのでそちらに軽く感謝の意を示し、上級大将の話を聞く姿勢をとる。
「実は、君の魔術について、本格的に研究したいと思っているのだ。あくまで任意…ではあるが。現状の能力だけでも十分、国に尽くしてくれていると言えるが…それでも、君の技術は国家の発展に大いに活用できる魅力的なものだ。要望は幾らでも聞こう。どうか協力して欲しい」
…どうしよ。
「ふーむ…そういうのはとりあえず、詳しく聞きなさい。あんたの魔法は圧倒的な魔力と、それを活用するあんたの異常な脳のおかげで成立してるわけだし」
と、神様。
「とりあえず…詳しく聞かせて貰えますか?どのような魔術を研究するのでしょうか」
「収納魔法と、それに付随する魔術建設技術を研究したい。これらの魔術は兵站技術を始めとしたあらゆる技術の飛躍的発展を生むと、統合参謀本部は考えている」
そう言って上級大将は指を組む。
それなりに緊張しているらしい?
「ふむ……私の生活が変わらないのであれば、できる限りの協力を惜しみません。それがライヒの発展に繋がるなら尚更」
「そうか………そうか…!ありがとう。もちろん、中佐の希望はしっかり飲もう。これからよろしく頼む。中佐…!」
そう言って握手を求めてくる。それに私は微笑みながら応えた。
「…話はこれだけでしょうか」
___その後、研究に関してのある程度の決め事についての話や、便宜上やることになった、第23旅団に関する直接報告を軽く行って、その日のうちに屋敷に帰ることができた。




