40.亡国の王女
メアリー視点
新聞によると、ノイエ王国は降伏したらしい。
国王夫妻は飢えに苦しんでいた首都の民兵らにより処刑されて、宮殿は焼き払われたのだそう。
私はそのことをアストノ立憲王国の辺境で知った。
ローザには降伏したことと、宮殿が焼かれたことだけを伝えた。
ローザは言語魔法が使えないので、多分、統一王国側の新聞は読めない。
そもそも、何故アストノ立憲王国の辺境なんかにいるのか。
簡単な話、『統一王国と下手にコトを構えたくはないけど、利用価値はありそうだから辺境で幽閉しつつ、もてなせば良い』なんて言う立憲王国政府の意向によるもので、ローザは『メアリーが居てくれるなら何でも良い』と言うけれど、私はこの扱いに少し不満を覚えている。
…このまま誰にも知られず寿命でくたばるなんて可能性も大いに有り得るわけだし。
「…不老不死になれば良いんじゃない?」
そんなことができるの?
「進化のための魔力を集めれば可能。私が神になったのも似たような方法だし」
………………案外アリかも。
「…ローザも一緒に…なんて考えてる?」
えっ…無理なの?
「可能ではあるわよ。まぁ、あくまでローザ自身がなりたいと言ってくれないと教える気にはなれないけれどね?それと…不老不死ってつまり人間界で言う人外になるわけだけれど、その辺の覚悟はあるの?貴女の人間としての価値観が壊れたり、時代に取り残されたり、或いは拷問のような苦痛を一生受けさせられるかもしれない。そうなるかもしれないという未来に向けて、貴女は歩めるの?」
迷いは既に宮殿に置いてきたから。
「…結構。とりあえずローザと話しなさい。私は神だから、どんなに熟考しようと気長に待てるわ。それが何年でも何十年でもね」
…もう他にやることなんてないし、割と早く結論は出ると思う。
「そう」
______結論から言えば、ローザは私と一緒に歩む道を選んだ。
最初は冗談だと笑っていたけれど、私が真剣に、詳しく話すと、少し悲しそうに笑い、『お父さんもお母さんも…帰る場所も、無くなったけど、やっぱりまだ…死ぬ気にはなれないし、メアリーが不老不死になるのなら、メアリーが寂しくないよう一緒にそうなろうと思う。生きる意味なんてもう無いけど、それを見つけるために生きる。だから…置いてかないで欲しい…』なんて言った。私は…ありがとうとしか口にできなかった。
「2人の意思は決まったようね。じゃあ早速…行きましょうか。統一王国へ」
え?
「統一王国に、不老不死へと至らせてくれる生物がいるの」
…どんな?
「人外に転生した、人外っぽい少女よ。知り合いの上位神が面倒を見てるからそのルートで話を通せる」
…ありがとう…
「まだ感謝するには早いわよ。さっさと準備しなさい」
「ローザ、早速支度をしよう」
「えっ、ここで暮らしつつ…じゃないの?」
「一度遠出をして、戻ってきて、もう1回ここで暮らす感じになるから…置いてく物があっても大丈夫」
そう言いつつ、私は旅支度を始めた。




