34.魔女の旅団
メアリー視点
「突撃ッ___!」
大尉が笛を鳴らし叫ぶ。それに合わせてがら空きの砲兵陣地へ伏せていた兵士達が突撃を開始する。
銃剣を突き出してひたすらに駆ける彼らを私は氷魔法で援護する。
手当り次第に敵へ銃杖を構え、鋭い氷柱を撃ちまくる。
敵は訛りの強い言葉で『ノイエの連中だ!』『どこから出てきやがった』『砲を守れ』などと叫んでいて、奇襲が完璧に決まったことをこちらに知らせてくれる。
神様の言ってたとおり、砲兵陣地と司令部は情報伝達速度の観点から隣接していた。
『losloslos!』
『国王陛下万歳!』
『司令部へ突撃だ!』
どんどん攻め立てて、陣地を制圧していく。
敵砲破壊の指揮に手こずって、私が敵司令部に入った頃には、既にそこは制圧されていて、死んだ将校や兵士の死体が転がっていた。
「______?…___」
…もう撤退?でも司令部が潰された歩兵部隊なんてただの雑兵じゃないの?
「____、__…___?」
…確かに、システムとして司令部機能の移乗は十分に有り得るし、そうなると予備兵力と残存歩兵部隊に挟み撃ちにされる可能性もあるよね。
「__ ____」
わかった。
「もし焼却されてなかったら、機密文書や重要機材とかを全部積めて!さっさと撤退するよ!」
「何故ですか、このまま歩兵部隊を…」
「恐らく敵は予備兵力と代替司令部を用意してる。だから敵が包囲網を作る前に逃げるよ!」
「そういうことなら…わかりました!」
『撤退!撤退!』
私達は司令部破壊の戦果と高い士気を持って『再編』の名目の下、帰国することとなった。
『大戦果!《碧眼の魔女》が敵部隊を殲滅!』
『英雄の凱旋!高い士気の下、健闘!』
私でも満足いく評価。宮殿では《救国十字章》なんて国王から貰って、『救国の英雄』なんて持て囃された。
今回一緒に戦った兵達を基幹として私の部隊が作られるらしい。
「あんまり無茶しないでよ」
王女にそう言われる。
「してないよ?」
「死んだら承知しないからね!」
「…はーい」
今回の先鋒部隊壊滅の件に伴って軍組織が大きく変わるらしい。
具体的には兵站総局と作戦総局の上に『参謀本部』とかいう組織を作り、統一的な軍の指揮体制を作るのだそう。
…そんな簡単にできるものなのだろうか?
そして私の部隊は《魔女の旅団》と仮で名付けられて、基幹となる旧先鋒部隊兵員に加え、低練度新兵で兵員を充填し、また前線へ行くことに決まった。
…大丈夫なのかな…こんな感じで。




